「ローンチまでの限られた時間で、シェアオフィスの運営に必要な機能を備えた業務アプリケーションを開発できた」――。5月26日に開催されたサイボウズ主催の「kintone hive Vol.3」において、東京急行電鉄 経営企画室企画部イノベーション推進課の野崎大裕氏が講演した。
東京急行電鉄 経営企画室企画部イノベーション推進課 野崎大裕氏
東急電鉄は、5月20日に新たにスタートした「NewWork」という名称のサテライトシェアオフィス事業で、業務アプリケーションの開発にkintoneを利用した。kintoneはノンプラミングで業務アプリケーションを作成できるサイボウズのクラウドサービスだ。システムの構築は、アールスリーインスティテュートが手掛けた。
NewWorkは、完全会員制のサービスでテレワークを導入する企業などの利用を想定している。同社直営のシェアオフィスのほか、提携する全国のシェアオフィスも利用可能だ。直営のオフィスは現在、自由が丘店、横浜店、吉祥寺店の3つで、今後たまプラーザと二子玉川にもオープンする予定だ。
野崎氏はNewWorkを利用するメリットについて、「人材を確保しやすくなる。例えば自宅近くのシェアオフィスで働くことができれば、育休や産休空けの従業員も働きやすい」と説明。このほかオフィスコストが削減できることや、交通機関が止まったときに利用することでBCP対策になる、などのメリットを紹介した。
東急電鉄がkintoneで構築した機能は入退室の管理、店舗管理、利用状況や契約状況の管理、利用料金請求などだ。野崎氏は「店舗の入り口にはロックがかかっていて、会員カードを使って解除する仕組みだ。これにより、従業員が何時から何時までどこで働いた、といったが分かるため労務管理も可能だ」と語った。
利用料金の請求は月末にまとめて行う。ただし、利用企業はシステム上で請求額を事前に把握できるので、「どの時点でもその月の利用時間や請求金額の状況を把握できるし、月末の請求が来る前に事前に金額や内訳が分かる」(野崎氏)
店舗管理の機能では、シェアオフィスを借りている物件のオーナーとの契約状況を管理できる。店舗ごとの営業時間や席数、提携店との契約状況などについても一元管理している。
東急電鉄は今後、更にkintoneを使った業務アプリケーションの追加を検討しているという。野崎氏は「売り上げの達成率を管理する予実管理のアプリや、全国にある提携店と情報を共有するためのアプリなどを考えている」と語った。