調査

仮想化進展でサーバ高機能化、単価も上昇--ビッグデータ活用は3%:JEITA

大河原克行

2016-05-30 13:32

 一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)の2015年度(2015年4月~2016年3月)のサーバ出荷実績によると、IAサーバの出荷台数は、前年比2%増の31万4142台、出荷金額は5%増の2228億5400万円となり、台数、金額ともに前年実績を上回った。

 IAサーバの産業別台数では、前年度には14%だった販売業の構成比が24%に拡大。金額でも11%から13%に拡大した。IAサーバは金額で5年連続で前年実績を上回ったという。

 価格帯別では、25万~50万円での台数成長が大きく、前年比12%増の13万1502台。金額では8%増の630億4800万円。また、50万~100万円では前年比5%増の8万6103台、金額では25%増の1031億2500万円と成長している。

 UNIXサーバは台数が18%減の4984台、金額は21%減の495億8800万円。製造業での構成比が高まっており、台数では前年度の24%から30%に、金額では20%から25%に拡大した。

 IAサーバとUNIXサーバを合計したオープンサーバでは、台数が前年比1%増の31万9126台、金額が1%減の2724億4200万円となった。

 メインフレームの台数は前年比15%減の237台、金額は21%減の444億1100万円。国家公務と政府関係機関で台数が減少する一方、地方公務で金額が増加したという。独自OSサーバは、台数が前年比7%増の491台、金額は12%減の34億5500万円となった。

UNIXサーバの減少傾向続く

 2016年度以降の見通しについても発表した。

 IAサーバは、2016年度には台数が前年比微増となる31万4737台、金額は3%増の2284億9900万円を見込んでいる。また、2017年度は31万1806万台、2321億1600万円、2018年度は31万4228台、2376億6400万円の市場規模になると予測した。

 JEITAは、「IoTなどにより、ITベンダーと企業の共創による新たなサービス創出の動きも出ているほか、インバウンドの増加による需要増、五輪開催に向けたインフラ設備投資の拡大の兆しも見えてきている」と説明した。

 「クラウドを活用したシステム、サービスの拡大に対応するデータセンターの構築や増強、IoTの浸透によるネットワーク接続デバイスやデータ増加といった市場変化への対応、ビッグデータの高速解析や機械学習による新たな価値創造への取り組み、社会や市場からの要請による高度なサイバーセキュリティへの対応といった点で、サーバ需要の拡大が期待できる。システム運用効率化に向けたサーバ統合、仮想化からのシステム統合への取り組みの拡大、大容量メモリを搭載したり、多重ネットワークの構築を実現したりといった高性能サーバの導入、企業のユーザー部門での利用拡大に伴う新たなサーバの導入なども期待できる」

 UNIXサーバは減少傾向が続き、2016年度は台数が4114台、金額は418億8900万円に、2017年度は3540台、364億8600万円に、2018年度には台数が3006台、金額は313億900万円に落ち込むと見込んでいる。

 「UNIXサーバは、企業の基幹システムを担う需要はあるが、IAサーバへの需要分散などもあり、減少が予想される。また、メインフレームは、高度の信頼性を要求される社会インフラシステムの中核製品であり、今後も一定の需要が見込まれる」と予測した。

 同協会は、サーバの年間総消費電力量に関する試算も発表。2015年度は64億kwhと試算した。2014年度と比べると、1億kwhの微増となったが、2008年度の72億kwhを最大として、減少傾向となっていると総括した。

 「IAサーバ下位機の平均定格電力は、ここ数年下がる傾向にあったが、2015年 度は328wと上昇している。これは、仮想化用途の広がりで高機能なサーバへと需要シフトしていることが背景にある。だが、出荷台数の大幅な成長がないこと、定格電力低下効果により低下傾向となっている」という。

 2016年度は63億 kwh、2017年度は62億kwh、2018年度は62億kwhと低下傾向が続くと予測している。

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