Azure導入の勘所

クラウドを再学習するタイミングは今--Azureの現在地

高橋秀

2016-06-10 07:00

 デジタル化を語るうえで必ず登場するSMACS(Social、Mobile、Analytics、Cloud、Security またはSensor)の1要素として広く認知されているクラウドですが、言葉の定義の仕方で数多くのサービスがクラウドという枠の中で語られるようになっています。

 本連載では、改めてクラウドを活用するポイントを見出していき、特にその中でもマイクロソフトが提供しているMicrosoft Azureというクラウドプラットフォームに焦点を当てていこうと思います。第1回となる今回は、なぜクラウドなのかという語りつくされたテーマについて、改めて考えていきたいと思います。

クラウドは危険なのか

 2018年にはIT投資の50%がクラウドを対象とする(IDC調べ)と言われている中で、クラウドセキュリティへの懸念を理由に採用を見送るというケースをいまだに見聞きしているので、まずその懸念を払しょくしていただくところから始めようと思います。

 世の中でクラウドサービスが始まった当初、ご提案時に本当によく顧客から質問されたのが、クラウドにおけるセキュリティです。現在でもクラウドのセキュリティについては十分な認知が広まっておらず、不安感が残っている状況が続いています。

 セキュリティとは何でしょうか。今回の文脈でいえば、自社あるいは自組織に関わるあらゆる情報(機密情報、顧客情報など)を外部、内部からの不正アクセスの脅威から保護することになると思います。ここには国や地域の法律にのっとって情報管理することも含まれてきます。自社環境にデータを保持する場合でも、クラウド上にデータを保持する場合でも、データが保持されている環境に対して実施するセキュリティ施策は同等の強度であるべきという点が最初に理解すべきことでしょう。

 そのうえで、考えてみてください。1つの事故が多額の負債とともにビジネスの終焉を迎えることと同義となるクラウドサービス提供事業者が実施するのと同じだけのコストを自社環境に投資すべきでしょうか。教科書的な答えはイエスです。投資するべきなのです。

 では、経営的観点あるいは経済的観点ではいかがでしょうか。おそらく、そこまでしなくてもよいというポイントがあり、コスト低減を図っているはずです。ここがポイントなのです。結局、全力で保全を図り、多くの国の法律にも対応し、ビジネスの根幹を守ることと同じだけの意識で担保されているクラウドのセキュリティ強度は、部分的に最適化を図られた多くの自社環境に向けたセキュリティ強度よりも高いのです。

 ではなぜ、それだけの強度のセキュリティを提供しても、クラウドは安いといわれる費用で利用できるのでしょうか。クラウドとは言わば極限まで汎用化されたハードウェアを高度な技術で自動化運用し、多くの利用者に向けて、高いセキュリティで保護された環境と機能をサービスとして提供しているものです。この高度な技術と多くの利用者があるからこそ安価でサービスが提供できるようになっているのです。

 単純に金額だけを見ても、クラウドの利用費というのは安価であり、仮に高額に感じるようなハイエンドな環境を使用したとしても、やはり自社で同等のインフラを用意するよりは安価になります。さらに、セキュリティについては、クラウドのサービス利用費程度では到底まかないきれないほどの強度の高いものが付帯しているのです。

 技術的な説明は別の記事やマイクロソフトのウェブサイトに譲りますが、セキュリティ強度に対する不安は、少なくとも自社にて同等の投資をしない限りにおいては杞憂ですとここに明言したいと思います。

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