Cisco Systemsなど5社とPrinceton Universityが2015年11月に設立したOpenFog Consortiumは6月10日、シスコシステムズの日本法人オフィスで記者発表会を開催し、新たなメンバーとして、NTTコミュニケーションズが加わったと発表した。
NTTコミュニケーションズの技術開発部、担当部長の野村研仁氏は同社の動きとして、2015年8月にIoT推進室を立ち上げ、5月にIoT基盤のサービスを開始したことが背景にあったとする。「上位レイヤの分析やアナリストとの協業といった面でOpenFog Consortiumに関心を持っている」と話した。
OpenFogはIoTの実現を目指す上で、クラウドに加え、よりエッジデバイスに近いところでのデータ処理が重要になってくるとの考えを示すもの。デバイスが無数になってくる中で、そこから生成されるデータを直接クラウドに上げると、通信負荷やデータ処理のキャパシティの問題に直面すると考える。
より現場に近いところで、リアルタイムかつ高度な処理を実施した上で、ネットワーク経由でクラウドとデータを連携する方が効率的と考える。ここでの「より現場に近いところ」というのがFogと呼ぶ領域。ゲートウェイを中心に、インターネット、VPN、3G/LTE、Bluetooth、Wi-Fi、Ethernetなどのネットワーク技術が基本的な構成要素だ。
IoTや人工知能、ロボティクスといった、ビジネスの方向性を左右する将来の波を見据えた上で、OpenFog Consortiumは環境の変化に応じてエッジとクラウドを使い分けた分散処理環境を進めていく。ここでは、機密性の高いデータの安全確保という視点での使い分けの判断もかかわってくるとする。
コンソーシアムの設立メンバーは前述のCiscoとPrincetonに加えてARMやDell、Microsoft、Intelを加えた6社。これにGeneral Electric、Shneider Electric、さくらインターネットがコントリビューティングメンバーになっている。5月3日現在で、7カ国27組織が参画する。
上記に、地域ごとの組織として欧州、北米、日本、中華圏の4つがひも付く。
日本では、3月に加入した東芝、4月に参画した富士通とさくらインターネットを中心に、地域別としては初となる日本コミッティーを今年4月に設立した。
日本での参加企業
東芝のインダストリアルICTソリューション社 技師長を務める中村公弘氏(お詫びと訂正:初出時、名前を誤って表記しておりました。お詫びして訂正いたします)は「今後よりエッジに近いモノに価値が出てくる。クラウドとエッジの協調分散処理が求められる」としながら、東芝のIoT戦略である「Chip to Cloud」につながることを強調した。Chip to Cloudは、装置、機器、センサの接続からデータ収集、蓄積までの機能、製品を一気通貫で提供し、より現場に近いところでリアルタイム、高度処理を実施することを目指すもの。
また、日本マイクロソフトは「クラウドとモバイルの世界をつくるのがMicrosoftの現在の目標。社会や暮らしの中心にデジタルがあるような、いわゆる社会インフラになると考えている。クラウドの価値がモノに近づいてきており、そこにあるデータを管理する必要がある。Microsoftとして、デバイスを管理するフレームワークなどを提供している」とし、クラウドを実現するためにOpenFogの取り組みに賛同していることを強調した。