今週の明言

CiscoのCEOが日本初会見で垣間見せた確固たるプライド

松岡功

2016-06-17 12:00

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、米Cisco SystemsのChuck Robbins CEOと、NECの山田昭雄データサイエンス研究所 所長の発言を紹介する。

「これからは国家レベルでデジタル化を強力に推進していく必要がある」
(米Cisco Systems Chuck Robbins CEO)


米Cisco SystemsのChuck Robbins CEO

 シスコシステムズが先ごろ開いた記者会見で、米Cisco Systems最高経営責任者(CEO)のChuck Robbins氏が2015年7月にCEOに就任して以来初来日し、事業戦略について語った。冒頭の発言はその会見で、Robbins氏が強調したメッセージである。

 Robbins氏は昨今のビジネス環境について、「デジタル技術がビジネスに大きな影響をもたらしつつある」とし、「あらゆるものや人がインターネットにつながるIoE(Internet of Everything)がわれわれに何をもたらし、ビジネス、さらには社会の仕組みや生活がどのように変わっていくのかをしっかりと見据えていかなければいけない」と強調した。

 Robbins氏の会見内容については関連記事を参照いただくとして、ここでは同氏のコメントで筆者が印象深く感じた点を2つ挙げておきたい。

 まず1つは、「国家」という言葉が幾度も出てきたことである。例えば、デジタルトランスフォーメーションの必要性を説いた話では、「デジタルトランスフォーメーションとは、テクノロジーの話だけではない。ビジネスモデルや経済性、セキュリティ、そして文化的な影響についても十分に考慮したエンゲージメントモデルを構築していくことが重要だ」と語り、「これは企業だけでなく国家にもあてはまる」と強調した。

デジタルトランスフォーメーションにおけるエンゲージメントモデル
デジタルトランスフォーメーションにおけるエンゲージメントモデル

 さらに、Ciscoは国家のデジタルトランスフォーメーションについて、すでにフランスやイタリア、ドイツ、イギリス、インドなどで支援プロジェクトを推進しており、日本においても「スマートシティの実現に向けた取り組みが始まっている」とのこと。いわゆる「国家プロジェクト」について強調する同氏の話に、世界のインターネット利用環境を支えてきたCiscoの確固たるプライドを見た気がした。

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