マネーフォワードが地方の中小企業に「ERP」導入を推す理由

山田竜司 (編集部)

2016-06-21 11:48

 マネーフォワードは6月20日、中小企業のバックオフィス業務向けSaaS「MF クラウドシリーズ」の5つのサービスを、まとめて利用できる「バリューパック」を発表した。対象となるのは「MFクラウド会計」「MFクラウド確定申告」「MFクラウド請求書」「MFクラウド給与」「MFクラウドマイナンバー」「MFクラウド経費」の5つ。

 バリューパックの価格は従業員数によって異なり、5人以下の税抜価格は月額3900円、6~10人 月額9800円、11人以降は1人につき月額800円追加される。


マネーフォワード 代表取締役社長CEO 辻庸介氏

 複数のサービスを組み合わせ、会計や確定申告、請求書、消込、給与計算、マイナンバー管理、経費精算などのサービスをパッケージで提供する。バックオフィス業務をクラウド上で完結できる体制を提供し、業務の効率化や生産性向上を目指す。

 「バリューパックには企業ごとのカスタマイズや販売管理といった機能はないものの、株式上場前の企業なら統合基幹業務システム(ERP)として利用できる内容」(代表取締役社長CEOの辻庸介氏)

 バリューパックの想定顧客は中小企業である。辻氏はこの4月に経済産業省が発表した中小企業白書の「高収益企業と低収益企業の違いの1つはITの活用度合いにある」というデータを示しながら、中小企業のIT化が進んでいないと指摘した。こうした中小企業のIT化進まない理由として「人材不足」「効果がわからない」「コスト負担ができない」という3つである点を紹介。バリューパックにより、コスト負担を抑制したいとした。


中小企業白書

中小企業白書

 こうした問題は特に地方の中小企業で顕著であるという。そこでマネーフォワードでは「地方創生プロジェクト」として長崎県、松浦商工会議所や北九州市と連携し、地域の中小企業にMFクラウドシリーズの導入を提案、中小企業のIT導入を推進する。SaaSの導入によりいち早く成功事例を公開して効果を示し、サービスを浸透させたい考えだ。「われわれのサービスによりバックオフィス業務にかかっていた時間が半分程度になったという顧客が多い。地域の商店街にまでMFクラウドシリーズを浸透させたい」(辻氏)

 また、業種ごとに異なる会計業務フローにMFクラウドを対応させるため、歯科、飲食、理美容など業種別の機能を拡充し、ユーザーに合わせたニーズに対応する。

 こうした「バリューパックによるサービスの低価格化」「地域との連携」「業界特化」などにより、現在のユーザー数50万から2016年にはユーザー数100万を目指すと宣言。人口減社会で中小企業にこそITによるバックオフィス業務の効率化や生産性向上が必要であると訴えた。

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