ユーザー部門も経営も納得する提案を--オールフラッシュストレージ座談会(2)

吉澤亨史 山田竜司 (編集部)

2016-07-19 07:30

  ストレージをオールフラッシュにすることで、社内のITやビジネスの何が変わっていくのか。フラッシュストレージに関わるベンダー5社に集まっていただき、座談会を開催した。今回は2回目。参加したのは以下の5人。(第1回

  • ソリッドファイアージャパン 技術部長 松浦敦氏
  • 日本IBM ストレージ・システム事業部 ビジネス開発 今井達也氏
  • EMCジャパン XtremIO システムエンジニア 水落健一氏
  • 日本ヒューレット・パッカード プリセールス統括本部 ストレージ技術本部 ストレージ技術2部 シニアITスペシャリスト 岩野義人氏
  • ピュア・ストレージ・ジャパン SE部長 志閒義治氏

信頼性と可用性がやはり必要

――顧客と話をしていて、感じていることは。

水落氏 実際に顧客と話してみますと、フラッシュにしたいという顧客ももちろんいますが、どちらかというとディスクへの信頼が高いという印象があります。フラッシュはディスクに比べて歴史が浅いことを気にしている。まず第一に考えるのはフラッシュであっても、信頼性が同じようにあるのか。可用性を同じように担保できるのかという点です。

 顧客の特性もあるとは思いますが、EMCにはスケールアウト型ブロックストレージ「XtremIO」もありますが、オールフラッシュストレージであっても、従来のハイブリッドで担っていたストレージと同じように信頼性や可用性の高い製品であるということを顧客に理解いただく点が、非常に努力しているところです。

 フラッシュの従来にない部分は、スピード、簡潔さ、コスト削減が可能な点だとおもいますので、それに信頼性や可用性がセットになれば、ストレージにフラッシュを選択しない理由はないと、わかっていただいていると思うのです。


日本ヒューレット・パッカード プリセールス統括本部 ストレージ技術本部 ストレージ技術2部 シニアITスペシャリスト 岩野義人氏

岩野氏 今話があった通り、私の顧客もやはり、信頼性や可用性を気にされています。それに加えて最近は、価格的に「今まであんなに高かったのに」と驚かれる場面が結構あります。ここまで価格がHDD(ハードディスクドライブ)と近づいてくると、あとは信頼性や可用性に問題がなければ使ってみようかなという形ですね。

 あともう1つ私たちが訴求しているポイントとしては、運用コストです。SSD(ソリッドステートドライブ)を使うことで削減できることを訴求すると、例えば設置面積や、電気代などでは、運用コストが極端に言えば3分の1、性能が10倍になって運用コストが3分の1になりますというと、検討しようという顧客が多いです。

松浦氏 違う論点が2つあります。われわれは東京の大手だけでなく、地方の小さいところも結構回っています。そういう小さいところでさえ、これからのストレージは今買ったら3~5年は当たり前。6~7年は使うという感じです。すると、今から買うのにHDDはないよねと結構言われます。現時点の“点”で見たらHDDかも知れませんが、3~5年使うという視点に立つと、地方の小さい会社であってもSSDを選びます。

 ではなぜディスクではだめなのかというと、使い方だと思います。よりクラウドチックに、要はサーバのCPUのスピードやコアなどがすごく、向上している中で、どちらかというとストレージの進化の方がジリ貧ではないでしょうか。クラウドチックにごちゃ混ぜに使っていく中で、ボトルネックがHDDにあると認識されているユーザーも結構いらっしゃる。この2つですね。

今井氏 ディスクではだめなのかというとそうではない。必ずしも全部フラッシュだとは私たちは思ってません。実はそれは顧客も同じだと思っていて、その違いはどこにあるかというと、松浦さんがおっしゃった「使い方」は1つあると思っています。データベースや仮想OSなど、パフォーマンスが要求されるところは「やはりフラッシュで」という話になってくると思います。

 そうではなくて、データを長期間保存する必要がある、あるいはアーカイブに近いところはやはりディスクの方が優位性があると思っています。あとは、企業規模の違いもあるかと思います。データが1Pバイト、2Pバイトあるような大規模な顧客で、全部フラッシュにしたら怒られます(笑)。そこは企業規模や使い方によって変わってくると思います。

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