スケールアウト型の仮想サーバ基盤アプライアンス「Virtual Computing Platform」（VCP）を手がけるニュータニックス・ジャパンは7月26日、米Nutanixが直近で実施した製品強化のポイントを説明した。大きな強化点として、外部のサーバ機からネットワーク接続を介してVCPをファイル／ブロックストレージとして利用できるようになった。
Nutanix製品は、ラックマウント型の汎用サーバにサーバ仮想化ソフトと分散ストレージソフトを組み込んだ、いわゆる“ハイパーコンバージドインフラストラクチャ”製品。サーバ台数を増設するスケールアウトによって、性能と容量を拡張できる。分散ストレージソフトは自社開発で、サーバ仮想化ソフトはVMware ESXi、Hyper-V、KVMベースの独自ソフト「Acropolis Hypervisor」（AHV）の3つのいずれかを利用できる。
Nutanix Virtual Computing Platformのラインアップ
ニュータニックス・ジャパン、日本法人代表マネージングディレクターの安藤秀樹氏
直近では、2月にOS「Acropolis Base Software」（AOS）の新バージョン4.6をリリースし、6月にバージョン4.7をリリースした。さらに今後、Asterixと呼ばれるOS新版を予定する。AOS 4.6を出荷してから100日が経過した時点で、ユーザー2500社のうち43％がAOS 4.6を使っている。
Nutanix製品の現状を「業務システムの基盤として汎用的に使われている」と説明するのは、日本法人代表の安藤秀樹氏。当初はVDI（デスクトップ仮想化）用途が売上の6割を占めたが、現在ではVDI用途の売上は3割を切る。業務システムの基盤として広く使われるようになっている。
Nutanixがストレージ装置に、Dockerも動作
AOS 4.6とAOS 4.7のハイライトの1つは、外部のサーバからVCPを外部ストレージとして利用できるようになったことだ。従来、Nutanixの分散ストレージにアクセスできるのは、Nutanixの内部で動作しているサーバ仮想化ソフトおよび仮想サーバだけだった。これらがiSCSIまたはNFSでアクセスしていた。今回、Nutanixの分散ストレージへのアクセスパスを、Nutanixの外部に開放した。
具体的には、外部サーバからCIFS/SMBファイルサーバとして利用できるようにする「Acropolisファイルサービス」の技術プレビュー版を、AOS 4.6で搭載した。製品版は4.7の次期バージョン（Asterix）で搭載する。また、外部サーバからiSCSIストレージとして利用できるようにする「Acropolisブロックサービス」を、AOS 4.7で搭載した。
直近のAOS 4.7では、「Acropolisコンテナサービス」も搭載した。これは、サーバ仮想化ソフトとしてAHV（KVM）を使った際に、AHV上でDockerコンテナを動作させられるようにするもの。Docker用のプロビジョニングソフトなどを用いて、Nutanix環境にDockerアプリケーションを配備できる。Acropolisコンテナサービスでは、Dockerコンテナ向けに永続化ストレージも実現する。
今後は、サーバ仮想化ソフトの存在を意識せずに使えるようにする試みの1つとして、Nutanixの運用管理画面からVMware ESXiなどAHV以外のサーバ仮想化ソフトも管理できるようにしていく。また、AWS（Amazon Web Services）などのパブリッククラウドサービスのようにセルフサービス型で仮想サーバを調達したりアプリケーションを配備したりする機能も実現する。
次期版では業務部門がセルフサービスで仮想サーバやアプリケーションを調達できるようにする
