情報通信白書を発表--IoTやAI推進人材の育成が課題 - (page 2)

山田竜司 (編集部)

2016-07-29 11:45

 こうした中、収集、蓄積の段階で止まっている日本のデータ活用実態やIoTの市場規模予測などのデータを考慮すると、2015~2020年に他国のIoT導入率は2~3倍になると予測する一方、相対的に日本はIoT導入意向が低く、他国と差が開いてしまう可能性があるという結果が出た。また、日本でのIoT導入意向が低い理由としてIoT導入を推進できる人材の育成が課題であると指摘している。


 第3章ではIoT時代の新たな新サービスを紹介している。日本は各国と比較してFinTechや民泊などシェアリングエコノミー関連サービスの認知度や利用意向が低いものの、今後利用が進めば事故やトラブルへの対応への不安が軽減され、利用が進む可能性があるとしている。

 こうした新サービスはスマートフォンの普及率に相関しているという考えからスマートフォンの利用率を調査している。利用率は日本が約6割であるのに対し、米国、英国、ドイツは8割、韓国と中国は9割後半と遅れが目立つ結果となった。日本では携帯電話の普及率自体は高いものの、50~60代の約半数から6割がフィーチャーフォンを利用という結果が出ている。


 第4章ではICTの進化と未来の仕事というテーマでAIを取り上げている。AIの普及に向けた対応について日米で比較したところ「AIの知識やスキルの習得を使う側に立って今の仕事、業務を続けようと努力する」と回答した人の比較では米国は46.7%だったが、日本は28%だった。一方、「対応、準備を行わない」と回答した人の比較では米国は22.8%、日本は51.2%だった。


 また、自分自身が自分の子供への習得AI活用スキルへの設問では、AIを作るプログラミングやAIを生かすデザインなどへのスキル習得に米国では3~4割が意欲を示しているのに対し、日本では2割前後だった。スキル習得意向がないと回答した割合は米国は15%、日本は38.5%だった。

 総務省では経済成長の中心となるAIやIoT導入に日本が乗り遅れることのないよう、企業や就労者が人材育成の課題に対応することが重要としている。


 情報通信白書は8月下旬からiOSやAndroidのアプリとしても無料で配信され、全文を収録した電子書籍としても、Amazon「Kindle」など各電子書籍ストアで、無料で公開する。

 さらに情報通信白書はオープンデータ化され、一部の図表や写真を除き、自由に複製・改変・頒布でき、商用利用を含む二次利用が可能としている。グラフデータはExcelやCSVで公開予定。

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