Microsoftは、2016年7月に開催されたMicrosoft Worldwide Partner Conference(WPC)の基調講演で「Hololens」を使って、日本航空が技術者のトレーニングをジェットエンジンを3Dで再現したホログラムによる拡張現実でどう改善しているかを説明するデモンストレーションを行った。これは確かに興味深い内容だった。
しかしWPCから1週間後、MicrosoftはBoeingとAzureやデータ処理に関するパートナーシップを結んだと発表した。筆者はむしろ、この件について詳しく知りたかった。民間航空機が「空飛ぶデータセンター」とも呼ばれており、民間航空会社の運営に多くの非効率が存在することを考えれば(年に1度以上飛行機に乗る人に聞いてみればいい)、民間航空路線でのアナリティクス利用には大きな可能性があるように思えるし、潜在的なメリットも多くあるに違いない。
両社の担当者に話を聞く
Microsoftに詳しい話を聞かせて欲しいと申し入れると、BoeingのDigital Aviation部門で高度情報ソリューション担当ディレクターを務めるAndrew Gendreau氏と、Microosftで旅行分野のグローバル産業ディレクターを務めるGreg Jones氏の話を聞けるよう手配してくれた。
このインタビューでは、あまり長く時間を取れなかったにも関わらず、多くの話を聞くことができた。まず、MicrosoftとBoeingは以前からパートナーシップを結んでおり、Microsoftのアプリケーション開発スタック(特にモバイルアプリケーション用のツール)を使用した取り組みを進めてきている。その協力関係の成果の1つに、重さ40ポンド(約18.1kg)を超えることも多い、書籍や資料を収めた紙ベースのフライトバッグ(訳注:パイロットが航空業務を行うために必要な資料や書類、道具等を携帯するためのバッグ)の代わりとなる、タブレットベースの電子フライトバッグがある。
予測的アナリティクスの活用例
既存のパートナーシップの下で、保守作業の最適化、人員配置計画、クルーのトレーニングなどの課題がすでに改善されつつあった。燃料最適化もすでに進んでいたが、この取り組みは素晴らしいもので、航空会社が全フライトの燃料使用状況を観察することで、時間経過に伴う燃料ニーズを予測する予測モデルを構築できるというものだ。
これらのモデルは、各経路の特性(および頻繁に生じる遅延)や、季節ごとの特性、装備、乗客数などを説明することができる。また、方針や業績目標の実施、燃料調達の財務的な側面(可能性としてはヘッジ戦略を含む)、これらの手続きやシステムを改善するために必要な変更管理などにも、これらのモデルを使用することができる。