内製化する組織を作り、次世代の成功例にしていく、さらにその上に新しいテクノロジを乗せるということが、PMOに取り組む上でのシグマクシスの目標です。やるべきことを突き詰めていったら共同での会社設立という形にたどり着いたということです。こういう形は、これから求められると思います。
白石氏:そこはローソンとしても重要。これは他のパートナーも含めてそういう考え方なのですが、戦略パートナーとローソンが一体となって設計や開発をしています。
私たちはコンビニだけがライバルだとは思っていません。小売業の市場の大きさはある程度決まっているので、その中での顧客の取り合いですよね。その中でどれだけ売り上げをあげていくか、リアルな店舗を拠点にしながらサービスを広げるために、日々いろいろな知恵を絞って考えていく。LDIはそこに対して、どんどん情報提供をしていかないといけないということですね。
「次世代コンビニ」に必要なシステム
――ローソンはコンビニでありながら、「1to1マーケティング」など、やや高単価な商材向けの展開をしている印象を受けるのですが。
溝端氏:コンビニの1to1マーケティングは、ある意味で商圏にいる顧客全員が等しく対象になります。そこにいる顧客が望んでいることに、店舗を合わせていくことが「コンビニの1to1マーケティング」です。コンビニはそもそも商圏のニーズに店舗を合わせるという考え方なので、一般的な店舗とはアプローチが少し違います。
白石氏:もちろん、顧客のニーズためのデータ分析は必須です。今のローソンは、情報としてPOSデータやポイントサービス「Ponta」の会員データを持っていますが、ほかのデータは収集中です。一方、今後は(他社のサービスとのデータ連携などにより)他の店舗でどういう買い物をしているかというデータ、位置情報、SNSなどがそろってくるという認識で、これらのデータを分析して顧客への対応が可能になっていくと思います。各顧客に対してアプローチできるのは(会話ボットなど)AIやディープラーニングの技術で顧客対応が置き換えられる可能性が見えてきたところが大きいです。今後、2~3年で実現していく予定です。
私たちの会社の目的は、チェーン全体の生産性を上げることです。もうひとつはマーケティングの領域です。そこで、ひとりひとりの顧客に、どうアプローチをしていくかの両方を考えています。
――買い物をする場所というより、地域の人が求めているものをすべて提供する。
白石氏:そうですね。コンビニ市場は10年ほど前から飽和状態という指摘がある一方、成長を続けています。昔は一商圏に一店舗と言われていたのが、今は一商圏に複数店舗あるのは当たり前であり、都内では家から駅までに大体2つか3つあるわけです、店舗を選ぶ時代になっています。
出店すれば売れていた時代から、店舗を選んでもらう時代になりました。どうすればもっと来店頻度を高くできるのか、より多く商品を手にとってもらえるのかを考えなくてはいけません。そこでいろいろな情報が武器になると思うのですが、そこはローソンも他のチェーンもまだまだ不十分なところだと思っています。
そうした進化のためにITがあると思います。例えば、店舗のクルー(アルバイト)や店長が使っていくタブレットを配布予定です。突拍子もないアプリケーションを載せるつもりはありませんが、誰でも直感的に使えるデバイスが、これまでの企業システムでは少なかったことから配布することになりました。企業システムが依然として変わらない現状を変え、生産性を上げたいのです。
タブレットに翻訳機能を搭載して外国語に対応することもできるでしょうし、今ではLINEのようなツールが主流のコミュニケーション手段になっています。店舗内のコミュニケーション手段もSNSなど慣れ親しんだものに寄せていくことも検討しています。