消費の主役になる「ミレニアル世代」を味方にするために--IT部門に必要な姿勢

山田竜司 (編集部)

2017-01-03 07:00

 1980年代から 2000年初頭までに生まれた「ミレニアル世代」を対象にした小売業界・消費財業界向け製品・サービスの見本市である「Millennial 2020 APACがシンガポールのARTSCIENCE MUSEUMで2016年の9月7~10日に開催された。

 世界中のスタートアップ企業の製品・サービスの中から、ミレニアル世代のロイヤルティ向上が期待される20以上のサービスが展示された。

 こうした見本市をアクセンチュアが実施した理由は3つ。「ブランドやリテーラー向けに連携すべきスタートアップ分析をしやすくする」 「リテーラーのデジタル化を推進させ、ECでの利益を上げる」「地域や店舗ごとの戦略を立てやすくする」という目的のためという。

 また、アクセンチュアの調査データから、消費の観点から特にアジアでミレニアル世代の動向に注力するべきなのが見て取れる。アジア・パシフィック地域でのEC市場規模は、2020年までに300%増の2兆6000億ドルに達すると予想。また、アジアのミレニアル世代は他の世代に比べて購買力が強く、可処分所得が2020年までに6兆ドルに達すると予想している。ミレニアル世代がアジアの人口の45%以上を占め、2020年までに、世界のミレニアル世代の60%がアジアに在住するという。


 アクセンチュアの消費財サービス部門でシニアマネジング・ディレクターを務めるTeo Correia氏

 一方、ミレニアル世代の消費者としての動向があまり知られていないのが現状という。

 アクセンチュアの消費財サービス部門でシニアマネジング・ディレクターを務めるTeo Correia氏は、ミレニアル世代の特徴について「ニーズや性質が細分化されており、人気ブランドを好み、購買体験を重視する」と説明する。

 ミレニアム世代のこうした性質の背景は何か。Correia氏は「(スマートフォンなど)テクノロジを武器のように使いこなしており情報がいつでも手に入る状態に慣れている」と指摘。ECやウェブサービスを利用する際のシームレスな体験こそが重要とし、「ミレニアル世代は一つのブランドで体験した良質な顧客体験ををほかのサービスにも求めている」と説明した。そのためスマートフォンを利用した配車サービス「Uber」のように「いま、ここ」でニーズがみたされるような体験を提供してくれるようなサービスならブランドの乗り換えすらいとわないケースもあるという。

 「企業がミレニアル世代のロイヤルティを獲得するためには、データに基づき、シンプルかつ一人ひとりの興味・関心に合ったスムーズな購買体験を提供することが不可欠だろう」(Correia氏)

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]