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”SDDCの父”に聞く、クラウド時代のVMwareの戦略

末岡洋子

2016-09-29 07:30

 仮想化技術のVMwareが脱仮想化を図ってSDDC(ソフトウェア定義データセンター)構想を打ち出して5年、サーバに加えてネットワークとストレージの仮想化で実現するSDDCは、同社のクラウドとコンテナの戦略の土台もなしている。

 SDDCを考案したVMwareのSDDC部門エグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのRaghu Raghuram氏に、SDDCからみたクラウド戦略について話を聞いた。

--SDDC構想を2011年に提唱した。これまでの成果をどう見ている?SDDCはVMwareの全体に戦略にどのような影響を与えているのか?

Raghu Raghuram氏
VMwareのSDDC部門エグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのRaghu Raghuram氏

 VMwareがSDDCというビジョンを提唱してから、企業におけるSDDCの採用は増えている。SDDCを採用した企業は、データセンターの効率化、コストの削減などのメリットを得ており、IT部門のアジリティ(敏捷性)も改善している。SDDCのアプローチにより、リソースを最大に活用でき、自動化をさらに進めることができる。これは、ITがビジネスのニーズに迅速に応じることにつながる。

--SDDCの採用が増えているとのことだが、業界や企業規模など傾向はある?

 SDDCの導入を進めている企業は数千社あり、それぞれ段階が異なる。

 例えば、テレビとデジタル事業を要するグローバルメディアでは、SDDCアプローチを用いて長い間依存してきたITインフラとアプリケーションを迅速にリプレースした。目標に到達するにあたって、コンピュート、ネットワーク、ストレージ、セキュリティサービスを管理スイート「vRealize」と組み合わせたVMwareのSDDCスタックをITインフラの土台とする”フリクションレスエンタープライズ”を実装した。

--今年のVMworldでは「VMware Cloud Foundation」を発表した。この狙いは何か?

 VMware Cloud Foundationは、統合されたSDDCプラットフォームだ。VMwareのサーバ仮想化基盤「vSphere」、ストレージ仮想化の「Virtual SAN」、ネットワーク仮想化「NSX」をネイティブスタックに組み込んでいる。このように統合したスタックを作成することで、仮想マシンをプロビジョニングするように、エンタープライズ対応のプライベートクラウド、パブリッククラウド向けのクラウドインフラのプロビジョニングが簡単にできる。

 利用例として、包括的なプライベートクラウドを構築して、データベース、ウェブアプリ、仮想デスクトップインフラ(VDI)といったミッションクリティカルなアプリケーションを動かすことができる。

 これに加えて、VMware vCloud Air Networkの一部のパートナー企業からCloud Foundationを土台としたクラウドサービスも提供される。IBM Cloudが第1号となり、今後選択肢を増やしていく。

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