シスコシステムズ 代表執行役員社長 鈴木みゆき氏
「2017年は2016年に始めた施策を継承する。具体的には、より日本市場に根差した事業展開、IoTやクラウドなどを生かしたデジタルビジネスの支援、特定業界向けなどの問題解決型のサービスの強化だ」(シスコシステムズ代表執行役員社長の鈴木みゆき氏)――。
シスコシステムズは10月12日、都内で会見し、2016年から継続する2017年の重点施策を説明した(図1)。2015年9月に立ち上げた中小企業向け新ブランド「Cisco Start」を中心とした日本市場への取り組みと、日本企業とのパートナーシップ拡大に注力する。
Cisco Startは、日本の中小企業向けに低価格と日本語化を図ったブランド。ブランドと同時に投入したルータ「Cisco 841M Jシリーズ」によって、SOHO向けルータ市場のシェアを9%から16%に拡大した。Cisco Startブランドを扱う販売店は、ブランド開始時の60社から1797社へと29倍に増えた。直近ではCatalystブランドのL2スイッチをCisco Startのラインアップに追加した。
図1
中小企業向けには、オンプレミス向けのCisco Startのほか、無線LANアクセスポイントを中心とした製品群で、ネットワーク機器の設定をクラウドで一元管理できるようにした「Cisco Meraki」も提供している。「クラウドセキュリティを含め、中小企業が必要とするネットワーク機器やサービスを包括的に提供できるようにしている」(鈴木氏)
日本企業とのパートナーシップにも注力している。例えば、工場における機械の稼働状況を収集して活用するIoTシステム向けに、ネットワーク基盤を提供する。IoT向けのネットワーク機器を共同開発したり、IoTベンダーが開発するデータ活用システムにネットワーク機器として採用してもらうといった協業も進める。
2016年には、組織体制も大きく変えた。以前は製品の営業担当者と関連サービスの営業担当者が分かれていた。「ユーザーから不満が寄せられていたので、窓口を一本化してシンプルに対応できるようにした」(鈴木氏)。2017年以降も引き続き、一本化された窓口で対応する。
製造業はIoTとSCMを統合、IoTを活用した従量課金も始まる
2017年の具体的な重点施策として同社は、IoTとデジタル化、クラウド、セキュリティ、次世代のネットワークサービスプロバイダ、の4つを挙げる。会見では、それぞれの分野を担当する責任者が施策の具体例を説明した。
シスコシステムズ 専務執行役員 戦略ソリューション・事業開発 兼 東京2020オリンピック・パラリンピック推進本部担当 鈴木和洋氏
IoTとデジタル化については、専務執行役員で戦略ソリューション・事業開発兼東京2020オリンピック・パラリンピック推進本部担当を務める鈴木和洋氏が説明した。
製造業を中心に、IoTの活用が進むという。例えば、工作機械やPLC、NC制御装置などから稼働データを取得し、ダッシュボードでの把握や障害の予防保守などに利用する。
今後の展開はサプライチェーンマネジメント(SCM)の統合だ。サプライチェーンの自動化が図られる。最終的にはMaaS(Machine as a Service)を実現し、売り切り型ではなくサブスクリプション型で機械を提供するようになる。
スマートシティの実現では京都府と提携。街中にデジタルサイネージや仮想コンシエルジュを設置する実証実験が終了した。2017年は街灯を遠隔制御するスマートライティングを開始する予定だ。