OpenFogコンソーシアムは10月3日、日本政府が主導するIoT推進コンソーシアムと覚書を締結し、フォグコンピューティングの技術・テストベッド開発および標準化活動を協調して推進することに合意したと発表した。また、6月に発足した日本地区委員会のディレクターとして、株式会社日立製作所 ICT事業統括本部 Senior Technology Evangelistの安田誠氏が選任された。
クラウドコンピューティングのみのモデルでは、非常に高い応答性と高いネットワーク帯域を必要とするロボット制御のような急激な変化にあるIoTアプリケーションへの対応に限界がある。そこで、モノとクラウドの間に位置するネットワーク層にもコンピューティング機能を分散・階層化させ、応答性を向上させるフォグコンピューティングの概念が提案されている。
OpenFogコンソーシアムは、そのフォグコンピューティングを構築し普及するために組成された官民業界団体。IoT、AI、ロボティクス、ネットワークを介した触覚通信やその他デジタル先端領域において懸念となっている帯域、遅延、通信などの課題の解決を目的に、2015年11月米国にてアーム、シスコ、デル、インテル、マイクロソフト、プリンストン大学によって設立され、北米・ヨーロッパ・アジアから46団体が参加している。
一方、IoT推進コンソーシアムは、産官学が参画・連携し、IoT推進に関する技術の開発・実証や新たなビジネスモデルの創出を推進するための体制を構築することを目的として、2015年10月に日本政府が設立した団体。
両団体は今回、協力してIoT時代を切り拓くことをねらいとして、以下の点に合意し、覚書を交わした。
- 優れた実績例の特定と共有
- テストベッドおよび研究開発プロジェクトでの協業
- アーキテクチャーおよびその他の要素における調和をはかり、相互運用性を実現
- 標準化活動での協業
- その他両者の合意に基づいた協業
この合意に基づき、OpenFogコンソーシアムはIoT推進コンソーシアムと連携して、IoTおよびフォグコンピューティングの技術開発、社会実装を進め、日本の発展に寄与していく。また、日本地区での活動を取りまとめ、より強力に推進するために、日立製作所ICT事業統括本部の安田誠氏を日本地区委員会のディレクターとして選任した。
安田氏は、以下のようにコメントしている。
「OpenFogコンソーシアム日本地区委員会ディレクターを拝命し、心より嬉しく思います。これまで、日立においてビッグデータ事業を推進してまいりましたが、その経験の中でもOT×ITを中心とするIoTが日本の得意分野であると再認識しています。IoTを拡大していくためにはフォグコンピューティングの考え方と共に複数社の協力関係が不可欠であり、日本地区委員会およびIoT推進コンソーシアムとの連携を通して、日本およびフォグコンピューティングの発展に貢献していきたいと思います」
また、OpenFogコンソーシアム プレジデントのJeff Fedders氏は、以下のようにコメントしている。
「日本はIoTアプリケーションにおいてフォグコンピューティングを進め、テストするうえで非常に重要な地域です。OpenFogとIoT推進コンソーシアムとの正式な協業は、優れたイノベーションと、オープンテストベッドを通じた先進的なコンセプトの早急な証明を可能にします。技術面では、オープンアーキテクチャと標準規格の開発における両者の協業から、産業界に恩恵がもたらされることでしょう。これらのこと、またその他の活動をけん引するため、日立製作所が日本地区委員会のディレクターとして、そして、OpenFog理事会メンバーとして参加し、正式に日本での活動をリードすることを歓迎します」