ポンド安受け、マイクロソフトも英国で法人向け製品値上げへ

Liam Tung (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2016-10-26 15:32

 Microsoftは、英国内の法人向けに提供しているオンプレミスソフトウェアとクラウドサービスの価格を大幅に引き上げる計画だという。ブレグジット(英国のEU離脱)国民投票後のポンド安に対する措置だ。


2017年1月以降、英国内の法人向けMicrosoft製品の価格はオンプレミスソフトウェアで13%、クラウドサービスのほとんどで22%値上げされる見込みだ。
提供:Getty Images/iStockphoto

 英国の欧州連合(EU)離脱を決定付けた国民投票後のポンド下落を受け、Microsoftは英国内の法人向けに提供している製品の大幅な価格引き上げを計画している。

 ブレグジットによって、IT企業の英国や欧州における操業形態に変化がもたらされるのは十分考えられる話だ。しかし英国では、膨大な数の企業や政府組織が使用しているソフトウェアやサービスの価格上昇という、より即時的な影響が現れつつある。

 Microsoft製品をポンド建てで購入している組織は2017年1月以降、オンプレミスソフトウェアで13%、クラウドサービスのほとんどで22%の価格引き上げを覚悟しておく必要がある。

 Microsoftは現地時間10月21日、英国内のボリュームライセンス価格を他の欧州諸国の製品価格に一致させる計画の一環として、この値上げを発表した。

 Microsoftは「2017年1月1日付けで、EUおよび欧州自由貿易連合(EFTA)加盟国内における法人向けのソフトウェアとクラウドサービスの価格との調和を目的として、英ポンド建ての価格を引き上げる」と同社のブログに記している。

 この価格引き上げは、英国内の再販企業やパートナー企業にも影響を与える。

 また同社は「EUおよびEFTA加盟国内のパートナー企業に対しては、改正された英ポンド建て価格のほかに、現行のユーロやノルウェークローネ、スイスフラン、スウェーデンクローナ、デンマーククローネ建て価格が適用され続ける」とも記している。

 ポンドは、6月23日のブレグジット国民投票の結果を受け、米ドルやユーロに対して大幅に下落した。HP Inc.などの一部の企業は、為替の下落が業績に悪影響を及ぼしていると報告している。また、HP Inc.やDell Technologies、Appleは既に英国で価格の引き上げを実施している。

 Microsoftは、EUにおける価格の調和を目的とする計画の一環として、4月にノルウェークローネ建てとスイスフラン建ての価格を引き上げたと述べている。

 同社によると、今回の価格引き上げはコンシューマー向けのソフトウェアやクラウドサービスには影響しないという。

 また、複数年にまたがる契約が継続している場合、今回の値上げの影響は当面発生しない。

 Microsoftは「法人顧客に対する今回の価格改定は、価格保護を条件とする製品の年額払いボリュームライセンス契約に基づいている既存の発注には影響を及ぼさない。例えば、『Microsoft Enterprise Agreement』を締結している顧客は、発注済みの法人向けソフトウェアやクラウドサービスの価格保護の対象となるため、該当契約期間内は価格改定が適用されない」と記している。

 また同社は続けて「同様に、『Office 365』といったクラウドのコミットメントサブスクリプションを購入している法人顧客も、該当サブスクリプション期間(通常は、購入したサブスクリプションの開始時期から12カ月間)中は価格保護を受けることになる」と記している。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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