HPC分野でクラウドが増加も、ユーザーの8割以上がハイブリッドを支持--DDN

NO BUDGET

2016-11-18 07:00

 米国DataDirect Networks(DDN)は11月2日、年次のハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)トレンド調査の結果を発表した。それによると、HPCという世界で最もデータ集約型環境下のエンドユーザーにおいても、多くの一般的なIT環境と同様にクラウド利用の増加傾向がみられるとのこと。データダイレクト・ネットワークス・ジャパン(DDNジャパン)が11月4日、抄訳で伝えた。

 この調査は、同社が4年連続で実施している調査の最新版で、今回の対象となったのは代表的なデータ集約型インフラを管理する世界中の143のHPCユーザー。回答者には金融サービス業界、政府機関、高等教育機関、ライフサイエンス業界、製造業、国立研究所、石油・ガス業界のHPC・ネットワーク・ストレージシステムなどの責任者が含まれる。

 今回の調査でみられた主な傾向としては、クラウドの使用が増加しつつも、一般的なIT環境とは違い、HPC分野ではパブリッククラウドの代わりに圧倒的にプライベートまたはハイブリッドクラウドを採用していること、またデータセンターが近代化するにつれ、環境内の特定の一部をフラッシュへとアップデートさせるユーザーが増加していることなどが挙げられる。

 主な調査結果は以下の通り。

  • データとデータストレージはHPCデータセンターにおける最も戦略的な要素に
  •  回答者のチームで管理しているストレージ容量についての質問では、1PB以上のストレージを管理もしくは使用しているとした回答は合計で73%にのぼった。また、10PB以上のストレージを管理もしくは使用しているとの回答は、昨年と比較し5ポイント上昇して30%となった。


    あなたのチームはどれくらいの容量のストレージを管理もしくは使用していますか。

     また調査回答者の77%が、データとデータストレージは引き続きHPCデータセンターにとって最も戦略的な要素だと回答している。DDNでは、この結果から、エンドユーザーが結果を出すまでの時間を短縮するため、データアクセス、ワークフロー、分析などにおける課題の解決を求めていることが分かるとした。

     さらに、HPCデータセンター内のプライベート及びハイブリッドクラウドの使用の増加も明らかになっている。2017年にクラウドを少なくともデータの一部に活用する予定であるという回答者は全体の37%と、2015年と比較し約10ポイント増加。回答者の80%以上はパブリッククラウドよりもプライベートもしくはハイブリッドクラウドを支持している。

  • 回答者の8割がハイブリッドフラッシュアレイを使用。オールフラッシュアレイは1割のみ
  •  フラッシュストレージの利用は急増しており、今回の調査では回答者の90%以上がデータセンター内でフラッシュストレージを利用しているとした。ただし、調査対象であるデータ集約型環境下においては、オールフラッシュを利用しているとの回答は10%にとどまる。回答者の80%は、ストレージキャッシュの拡張として、またはメタデータを加速するため、もしくは、キーとなるか或いは問題となるI/Oアプリケーションに関連したデータセットの加速のために、ハイブリッドフラッシュアレイを使用しているという結果だった。


    最近あなたが使用しているフラッシュストレージの説明として最も適しているものは何ですか?
  • ストレージとビッグデータにおける最大の課題は「性能」。混在型I/O性能は最大の懸念点
  •  ストレージとビッグデータにおける最大の課題についての質問では、「性能」を挙げた回答が76%にのぼった。さらにその中の61%は、混在型I/O性能が性能における最大の懸念点であると回答した。また、回答者の68%は、ストレージI/Oを分析ワークフローの主なボトルネックとして認識している。

     これらの回答は、ビッグデータ環境で、混在型I/Oパターンを生成し、ストレージインフラの性能を抑圧する多様なアプリケーションの激増の問題に取り組む中で、性能に関する課題がどれほど急増しているのかを裏付けるものだとDDNは指摘する。


    ストレージ及びビッグデータにおける最大の課題は何ですか?

     このI/O性能をはじめとする目下の課題に対しては、既存のファイルシステムやデータ管理テクノロジでなく、新しいイノベーションが必要だという認識を約75%の回答者が示している。ストレージを次のレベルへ押し上げるために最も有効な技術を質問したところ、60%の回答者がバーストバッファ技術を挙げた。

  • HPCコラボレーションにおける最大の障害はセキュリティとデータ共有の複雑さ
  •  複数のHPCサイトがコラボレーションされていく中では、セキュリティやプライバシー、データ共有についての懸念も大幅に増えていく。回答者の70%はマルチサイトのHPCコラボレーションにおける最大の障害としてセキュリティとデータ共有の複雑さを挙げた。

     調査対象のHPCユーザーの72%は、今日の大規模及びペタバイトレベルのデータセンターでのストレージ性能の重要な必要条件として、「サイトワイド・ファイルシステム」を採用することがHPC環境で引き続き重要なインフラ・トレンドであるとした。サイトワイド・ファイルシステムは、同一システム上の複数のコンピュータの統合や、必要に応じてストレージやサーバーをアップグレードするなどの柔軟性を提供するものだ。

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