これまで使われてきた選挙予想の手法は終わりを迎えた。
いや、これは言い過ぎかも知れないし、断じるのは早すぎるかも知れない。しかしあらゆる評論家や世論調査が、精緻な数学モデルや調査、仮説を駆使して、自信を持って大統領選の結果を予想したにも関わらず、結果は完全に間違っていた。これは大変な不名誉だし、存在意義に関わると言っていいほどだ。
しかしそんな中、結果を正しく予想していた企業がある。
自動運転車の普及を間近に控え、大人気番組「Black Mirror」がNetflixでヒットする時代であることを考えれば、米国時間10月28日にインド・ムンバイの企業MogIAの人工知能が大統領選の結果を正しく予想していたのも不思議ではない。
MogIAが正しく予想したのは、今回の選挙結果だけではない。2016年の民主党、共和党の両方の予備選、そして過去3回の米国大統領選挙でも正しい結果を導き出している(ただしこれらの結果は、公の場で検証されたわけではない)。
MogIAを設立したSanjiv Rai氏は、10月下旬に予想結果をCNBCに送った際、同社はソーシャルメディアの膨大な情報を徹底的に調べ、米国の国民感情を分析したと説明している(同社の社名はキップリングの小説『ジャングル・ブック』に登場する少年「モウグリ」の名前から取られている)。
具体的には、これらの予想を導き出すために、Twitter、Google、Facebookなどをはじめとする公開プラットフォーム上の2000万件のデータポイントがスキャンされたという。Rai氏はCNBCに対して、同社のAIシステムは、過去に分析したすべての選挙で、エンゲージメントのデータがもっとも優れている候補者が勝利していたことを明確に示していると語った。
同氏が10月28日にCNBCに送ったレポートには、「もしトランプ氏が敗北すれば、過去12年間、インターネットによるエンゲージメントが本格的に利用され始めて以来続いてきたデータの傾向を、初めて覆すことになる」と書かれている。しかし、誰も耳を貸さなかった。Rai氏はまた、トランプ氏のエンゲージメントの数字は、2008年にオバマ氏が大統領選で獲得した数字を25%上回っていると指摘した。