ユーザー体験と内製化の関係

「働く仲間を増やすために魅力的であれ」--マネーフォワードの採用戦略 - (page 3)

越川 直人

2016-11-29 07:00

 当社のとある職種のエンジニアの選考プロセスでは、4人の面接官が1人ずつ候補者と面接します。その際4人の面接が終わるまでお互いに印象や感想をシェアしないようにします。これはお互いの感想や意見のバイアスを排除するための工夫の1つです。ただし一人ひとりの面接官にかかる負担は高くなります。では、なぜそのような選考プロセスにするのでしょうか。

 1人のマネージャーが会うだけで採用を判断することは大変困難です。マネージャーが現場で一緒に働くメンバーの立場で、彼らが一緒に働くイメージまでも持てるでしょうか。どんなに優秀なマネージャーでも完璧にそれをイメージすることは難しく、少なくとも現場で一緒に働くことになるメンバーも面接の場に登場することをオススメします。

 選考プロセスでは、候補者が社内で活躍することの成功の確率を上げるよりも失敗の確率を下げることが大事です。採用すべき人を採用できないことよりも、お互いにとってアンマッチにも関わらず採用を決めてしまうようなパターンなど、採用すべきでない人を採用することの方がリスクは高いです。

 また、ほとんどの面接官は個人的な心理バイアスに陥ります。他者からの評価や第一印象、ハロー効果、自身との共通点などさまざまなバイアスがありますが、他者からの評価という意味で先に述べた「お互いに印象や感想をシェアしない」ようにして、個々人のバイアスを排除する上でも複数人でのジャッジが有効となります。また候補者にとっても色々な人とお話できることは判断材料が増えてプラスとなるでしょう。

 また、職種ごとに重要視する観点をあらかじめまとめておいて、その観点でジャッジするための質問を用意しておくと良いでしょう。

 例えば、「仕事で、今まで一番困った体験はなんですか」という質問は、「はい、いいえ」で答えるクローズクエスチョンではなく、オープンクエスチョンなので色々な答えが想定されます。答えによっては、困難に遭遇した場合にどのように対処するかという思考や態度、行動力について判断できるかもしれません(断言していないのは、選考プロセスで確実に正しい判断をするのが不可能だからです!)。

 選考は大変難しいプロセスなので日々改善する必要があるでしょう。

入社

 選考プロセスを経て、入社に至るまでに候補者が接する社員は主に人事部のメンバーが中心となります。候補者が入社に迷っている場合などは、候補者の迷いを解消するために、現場のメンバーが面接とは違うコンテクストで話をする機会として一緒に食事へ行くことも多いです。

 さらに会社の雰囲気を知ってもらうために、先に挙げたMoney Forward Meetupにお呼びすることもあります。

 さて続いては、外からやってきた仲間が入社した後、どのように活躍して、外から人を呼び込むスパイラルとなるのかを見ていきましょう。先に示した採用サイクルで、従業員の可視化を大事にしてます。可視化すべきことは以下のとおりです。

  • 活躍のイメージがわく
  • モチベーションコントロールの秘訣を知る
  • 事業へのコミットとは何かを知る
  • 事業の成長を実感する
  • 働く喜びのユースケースについて知る

 それぞ見ていきましょう。

活躍のイメージがわく

 われわれは組織の「Mission / Vision / Value」を制定することで、求められる行動や、正しい行動が分かるようにしています。逆に、「Mission / Vision / Value」を外さなければ、成果を出す方法は個々人に委ねられる雰囲気があります。

 具体的な活躍イメージができるよう、社内エンジニアのインタビューを記事として発信しています。

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