NTTドコモ(以下、ドコモ)は、11月16日、時速150kmの高速移動時での28GHz帯を用いた5G無線データ伝送実験で、2.5Gbpsのデータ伝送に成功したと発表した。この実験はSamsung Electronics Co., Ltd.(以下、Samsung)と協同で富士スピードウェイで行われた。次世代通信の要素技術であるMassive MIMOの特長である超多素子アンテナを用いて電波の放射エリアを特定方向へ集中させるビームフォーミング機能と、高速移動する端末の動きに合わせて電波の放射方向を制御するビーム追従機能を用いている。
同実験は、特急列車などで高速移動する利用者が5G端末を利用する想定で実施したもの。実験に際し、通信路の状態を把握する参照信号や、端末の通信方向を把握しビームを最適化するビーム制御信号の設計を変更し、時速150kmの高速移動に対応するビーム追従機能を開発している。
富士スピードウェイでの実験は、11月7日に実施された。グランドスタンドに設置した基地局から、サーキットコース上を時速150kmで走行する車両に搭載した端末に対して28GHz帯を用いた5G無線データ伝送実験を実施し、2.5Gbpsの無線データ伝送するもの。これまで基地局の正面方向に移動する端末に対して無線データ伝送を実現していたが、今回の実験では、最適な実験環境を構築、基地局を横切る方向に高速移動する端末に対して2.5Gbpsの無線データ伝送を検証し成功した。
富士スピードウェイにおける高速走行実験風景と時速150km走行時の受信スループット
また、ドコモとSamsungは、同実験に先立ち、10月3日~10月26日、みなとみらい21地区で共同実験を実施している。この実験は、4.5GHz帯の周波数帯を用いた多数の端末接続、高速・大容量通信、低遅延伝送を実証するもので、5Gの無線データ伝送実験では、屋外に配置した23台の端末との間で、合計で11.29Gbpsの高速かつ大容量通信を実証した。