世界初のビジネスコンピュータ「LEO」の記念碑、誕生の地ロンドン西部に

Jack Schofield (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2016-12-06 15:37

 ロンドン西部のハマースミスに記念碑が打ち立てられている。ハマースミスはJ. Lyons & Co.が65年前、世界で初めて電子ビジネスコンピュータを動かした地だ。レストランチェーンなどを運営していたLyonsが、本社、パン屋、アイスクリーム工場を構えていた約8100平方メートルのCadby Hallは現在、存在しない。1983年に建物は取り壊された。Lyonsは生き残ることができなかった。記念碑には、世界初のビジネスコンピュータ「Lyons Electronic Office(LEO)」がこの付近で構築され、1951年から稼働したと刻まれている。

 記念碑を披露したのは、LEOを開発したFrank Land教授と世界初のフリーランスプログラマーStephanie Shirley氏だ。Land教授はロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)を卒業した後、1950年代にLyonsに入社した。Steve Shirley氏(Vera Buchthalとして誕生した)はロンドンのドリス・ヒルのPost Office Research Stationに勤務し、コンピュータを構築したり、機械語でコードを書いていた。2人はドイツ生まれで、子供時代にナチスから逃れて英国に渡った。

 Lyonsは先進的な企業で、研究者は米陸軍の弾道研究関連の計算のために設計されたコンピュータ「ENIAC」に精通していた。その後、ケンブリッジ大学でMaurice Wilkes教授が「EDSAC」を構築していることを知ったLyonsの研究者らは、Wilkes教授にお金を払ってケンブリッジ大を卒業したJohn Pinkerton氏を起用する。Pinkerton氏は、LEOのエンジニアリングマネジャーとなった。

 Cadby Hallで誕生したLEOは、EDSACをベースに拡大、強化したもので、21のラックに6000本の真空管を持ち、約470平方メートルを占める巨大なものだった。LEOへの関心は高く、1951年2月にはElizabeth女王が、LEOがテストを行う様子を見に訪れた。

 大企業の多くが自社のLEOを求めていた。そしてLyonsはこの要望に応えようと、1954年にLEO Computersを立ち上げた。ユーザー企業は、Ford、Shell、Dunlop、Ever Ready、Royal Bank of Scotland、保険企業のほか、英国の歳入関税庁、内国歳入庁など。オーストラリア、南アフリカ、チェコスロバキアなどの国でも使用された。

 だが、LEO Computersはその後IBMが力を持つことになる成長市場で競争を勝ち抜くことができなかった。LEO Computersは1963年、English Electric Companyに統合され、1968年にはICLの一部となった。1990年、ICLは富士通に買収され、2002年までICLブランドは残った。


Frank Land氏とStephanie Shirley氏が記念碑を披露。
提供:LEO Computers Society

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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