日本OSS推進フォーラムの意義
2004年に設立した日本OSS推進フォーラムは、当初、「OSSを業界に取り入れるときの課題を解決すること」を目指し、Linuxなどの技術評価を行っていました。Linux自体の機能向上はもちろん、問題発生時の切り分け用のツールなど、エンタープライズでの活用をめざして活動してきました。
また、データベース(DB)などのミドルウェア領域でも、PostgreSQLとMySQLの特性をスケールアウトとスケールアップの視点で検証を実施し、それぞでのDBの特徴をつかむことができました。また、アプリケーションサーバも性能や信頼性などを検証し、OSSのミドルウェアの機能向上にも大いなる貢献をしてきました。
しかしながら、Linuxもミドルウェアもエンタープライズでの実績が増え、いわゆる「SoR(System of Record)」と呼ばれる従来型業務システムでOSSを使う際の問題点が少なくなってきことから、2014年に活動内容を見直しました。
今やOSSは、SoR分野で「コスト削減」や「ベンダーロックインの排除」という目的で使われるだけでなく、「SoE(System of Engagement))」と呼ばれる企業のビジネスプロセス革新や新ビジネス創造などのデジタル革新を実現するシステムでの利活用に移行してきています。特に「クラウド」「ビッグデータ」の領域は、OSSの方が商用ソフトより機能が進んでいる部分があるため、これらの分野ではOSSが主役になっています。
今回の北東アジアOSS推進フォーラムの韓国OSS推進フォーラムのKO議長の「この北東アジアOSS推進フォーラムに参加している3カ国から、世界を席巻するOSSが誕生することを期待する」という発言の通りに、今後はアジア発のOSSが世界中で使われるようになることを期待したいと思います。
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- 吉田行男
- 日立ソリューションズ 技術開発本部 研究開発部 主管技師。 2000年頃より、Linuxビジネスの企画を始め、その後、オープンソース全体の盛り上がりにより、 Linuxだけではなく、オープンソース全般の活用を目指したビジネスを推進している。 現在の関心領域は、OpenStackを始めとするクラウド基盤、ビッグデータの処理基盤であるHadoop周辺及びエンタープライズでのオープンソースの活用方法など。