調査

国内インバウンド、“爆買い”過ぎて2016年以降は安定増--矢野経済研究所

NO BUDGET

2017-01-22 07:00

 矢野経済研究所は12月16日、国内のインバウンド市場の調査結果を発表した。本調査では、日本国内で訪日外国人客(ビジネス目的も含む)が主に物品を購入した規模(宿泊費や交通費は含まない)をインバウンド市場として定義、2016年1月から9月にかけて同社研究員が百貨店・ブランド企業・その他小売業などへヒアリングを実施し、文献調査を併用した。観光庁による推計とは異なる、同社の独自推計となっている。それによると、いわゆる“爆買い”の終息により2016年のインバウンド市場は一時的に減少するものの、訪日客数が順調に拡大することから安定した拡大傾向が続くと予測している。

 調査結果の概要は以下の通り。

  • 2020年の訪日外国人客数は2015年の約1.9倍となる3679万人と予測
  •  今回の調査では、訪日外国人客数に関するデータを国別の人口や旅行トレンド、経済的背景などを基に分析し、2020年の訪日外国人客数を3679万人と予測した。特に中国をはじめとするアジア地域からの訪日客数が順調に拡大するとみられるという。なお、世界情勢、経済情勢、為替動向などを考慮すると、急激な伸びは治まり、トレンドとしては徐々に増加が穏やかなものになっていくと推測される。


    訪日外国人客数の推移予測(2011年〜2015年は日本政府観光局(JNTO)データより引用、2016年〜2020年は矢野経済研究所予測値)
  • 2020年の国内インバウンド市場規模は2015年の約1.3倍となる1兆8764億円を予測
  •  2016年9月までの状況から、2016年の訪日外国人客数も前年をさらに上回ると推測されるが、中国政府の政策などにより“爆買い”が終息したことを受け、同年のインバウンド市場規模は縮小が見込まれている。しかし、この縮小は一時的なものとみられ、2017年以降は、1人当たりの購買単価こそ2016年の水準が継続すると思われるが、訪日客数の増加が大きく、市場規模としては再び拡大傾向に向かい、2020年には2015年の約1.3倍となる1兆8764億円と予測した。


    国内インバウンド市場規模推移(物品購入のみ、2011年〜2015年は矢野経済研究所推計、2016年以降は同社予測値)
  • 都道府県別でみると1位は東京都(6077億円)、2位の大阪府に約3.4倍の差
  •  国内インバウンド市場は地域性が顕著に表れている。ここ数年の好調なインバウンド需要は、実際のところ一部の地域が大きな恩恵を受けている一方で、大半の地域では、まだそこまでではないのが実状である。都道府県別の規模を見ると、東京都が約6077億円と、国内インバウンド市場全体の実に40.9%を占める結果となった。次いで大阪府が続き、その他、北海道、千葉県、京都府、福岡県、沖縄県といった地域も訪日客数の多さと比例して日本での消費スポットとなっているものと考える。

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