イノベーションを実現することで収益10億ドル増も--アクセンチュア調査

NO BUDGET

2017-01-28 07:00

 米国アクセンチュアは11月29日、世界9カ国8業界におけるフォーブス・グローバル2000ランキング企業を対象とした、イノベーションに関する調査結果を発表した。調査では、合計351社の最高技術責任者(CTO)、エンジニアリングやイノベーションを担当する事業部長・副部長、もしくはこれらに相当する役職者に対するインタビューを行い、各社のイノベーションの取り組み状況と業績を分析している。それによると、イノベーション力や製品開発力の差別化を図っている企業は、年換算の収益が同業他社に比べて3〜7%高いことが判明し、これにより際立ったイノベーション力と企業成長には明確な相関関係があることが分かったとしている。アクセンチュア日本法人が1月24日、抄訳で伝えた。


イノベーション力や製品開発力の差別化に注力する企業の年換算収益の高さを、同業他社と比較

 調査においてはイノベーションの手法や能力に関する先進性を分析し、その上位20%の企業をリーダー企業と定義している。このリーダーとして定義された企業は、年換算で同業他社の収益を3.5〜7%上回っており、営業利益も同様に上回っていることが分かった。

 そしてアクセンチュアの試算によると、自動車業界の企業がこうしたイノベーションを実現することで、年間で最大10億ドルの収益増を見込めるという。こうした収益増は他の業界でも同様で、消費者向けテクノジー業界では6億3300万ドル、医療テクノロジ業界では5億8100万ドル、産業機器業界では5億6700万ドルの収益増が見込めると予測している。

 今回の調査では、各業界のリーダー企業が重点を置いている領域もそれぞれ明らかになった。例えば、通信機器業界のリーダー企業は新規事業の育成や事業統合に注力している一方、産業機器業界のリーダー企業はイノベーション力と製品開発力の強化に重点を置き、消費財業界では企業戦略と商品戦略に一貫性を持たせることを最優先としているといった具合だ。

 そして、こうしたリーダー企業は、「注力分野のイノベーション」よりも「新規分野でのイノベーション」で差別化しているという。例えばハードウエアを主力にしてきた企業は、デジタル技術の進展によって、産業基盤が根底から覆されようとしており、ソフトウエアや新たなコネクテッド・エクスペリエンス(あらゆるモノがインターネットに繋がることで生まれる体験)に主軸を置いた戦略へ移行しようとしている。スポーツアパレル、従来型の玩具やゲームのほか、冷蔵庫などの耐久消費財といった業界では、顧客との双方向のコミュニケーションやパーソナライゼーション、製品機能を強化することで、製品のサービス化を図っている。こうした動きの先頭に立つ企業は、単に欲しい製品を顧客に尋ねるのではなく、これまで満たされなかった顧客ニーズを特定することで差別化を図っているというわけだ。


イノベーターの分類

 なお、アクセンチュアでは調査データに基づき、イノベーターを上図の4種類に分類している。業界をけん引するイノベーション企業は、「アーリー・イノベーター」か「バリュー・メーカー」のいずれかに分類されており、いずれも顧客体験の差別化を図っている点で共通している。そして残りの2種類に、業界の大半の企業が分類されているのが現状だ。

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