ドローンビジネスの夜明け

実体化してきたドローンビジネス--市場が拡大する2017年(前編)

神原奨太(テラドローン)

2017-02-15 07:30

 2016年はまさにドローンビジネスの幕開けと呼べる年であり、2017年はよりその動きが加速しそうだ。世界中でさまざまなスタートアップが生まれ、大企業もドローンビジネスへの参入を果たした。

 日本では大手の通信キャリアがドローンの事業構想を立ち上げ、本格的な参入を果たしたり、NTT東日本による自社設備の点検、セコムの警備用ドローンなど各社が空飛ぶロボットの活用に乗り出した。特に、土木測量や農薬散布においては業務利用が本格化し、実際にマネタイズできる領域も出現してきた。

 農業分野のドローン利用も、従来からの農薬散布を中心として既に広がりを見せているが、2017年にはインフラ点検分野、精密農業分野に関してもさまざまなプレイヤーが出現する可能性が高い。


 さらにドローン業界を後押しするさまざまな政府の取り組みが始まっている。例えば経済産業省は2017年度の予算で、機体性能評価・国際標準化・運行管理システムの開発などに30億円以上の予算を確保している

 国土交通省では、2016年12月までの1年間で、飛行申請が必要なエリアにおいて1万件以上の許可を迅速に発行している。

 さらにドローンの目視外飛行の安全な自動離着陸が可能な「ドローンポート構想」や、有人機との飛行情報共有システムについても検討を進めている。

 総務省もドローンにおける携帯電話電波網の利用を実験的に許可し始めている。今後、ドローンにSIMカードを搭載し直接クラウドから指示を出すようなシステム登場の可能性が予測できる。

 海外に目を移してみると、ヨーロッパ圏のフランスやイギリス、オーストラリアなどの国で業務利用が進んでいる。最大の潜在市場の1つである米国でも、2016年夏に米国連邦航空局(FAA)が定めた商業UAVのガイドラインである「part107」が発表され、ドローンの業務利用が本格化した。

 この連載では、国内外のドローンビジネスの動向を追っていく。今回は、ドローンビジネスの概要と世界の市場を紹介する。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]