矢野経済研究所は、4月18日、国内の危機管理(事業継続/防災/情報セキュリティ)ソリューション市場に関する調査の結果を発表した。
これによると、2016年度の国内同市場の規模は前年度比105.8%の8967億円の見込みで、2019年度以降は1兆円を超えると予測されるという。2015年度から2021年度まで年平均成長率は、3.9%で推移し、2021年度には1兆632億円に達すると予測される。
危機管理(事業継続/防災/情報セキュリティ)ソリューション市場規模(事業者売上高ベース)推移・予測
同調査での「危機管理ソリューション」とは、事業継続ソリューション(BCPコンサルティング、DRソリューション)、防災ソリューション(防災行政無線システム、消防指令システム、総合防災システム、災害情報管理システム、安否確認・緊急速報サービス)、情報セキュリティソリューション(情報セキュリティツール、情報セキュリティコンサルティング・診断、情報セキュリティ構築、情報セキュリティ運用監視・保守)を指す。
調査は、2017年1月〜3月の期間で実施された。調査対象は、危機管理ソリューション提供事業者(IT事業者、通信事業者、セキュリティソフトウェアメーカー、コンサルティング事業者、シンクタンク、警備会社など)。
同研究所では、災害に対する危機意識の薄れや、主だった企業が対策を完了済みであることなどから、2017年度以降、危機管理ソリューション市場全体の伸びは鈍化していくとしている。
各セグメント別では、事業継続ソリューション市場では、2013年度後半から落ち着きを見せているものの、一旦策定したBCPを継続的に見直す企業が存在しており、2016年度の熊本地震の影響から、策定済みのBCPを見直す動きや関連セミナー、訓練などのコンサルティング需要が増加しているという。DRソリューション市場は、クラウド型のサービスの利用拡大により全般的にサービス単価が低下傾向にあるが、導入企業の裾野は拡がっている。
情報セキュリティソリューション市場では、2011年以降、市場が活発化している。近年のサイバーテロ攻撃による情報漏洩被害の増加やマイナンバー制度の導入などから、情報セキュリティ対策を重要な経営課題として位置付ける企業や地方自治体が増加しており、情報セキュリティ対策への投資が増加すると予測されている。また、2020年の東京五輪・パラリンピックを控え、インフラ事業者及び関連組織、地方自治体などで、情報セキュリティ対策の強化やサイバーテロ攻撃を受けた場合の復旧時間の短縮に向けた取り組みが加速されていくと推測されるという。
防災ソリューション市場では、政府によるBCPガイドラインの策定や省庁横断の国土強靭化に関する取組みが進んでいる。また、地方自治体では、職員と住民の双方に、より有効な情報をより迅速・的確に提供するため、導入済の各システムサービスの高度化、高機能化を継続的に進めている。