海外コメンタリー

脳に埋め込むデバイスをより安全に、より高性能に--コロンビア大学の挑戦

Charlie Osborne (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2017-07-26 06:45

 ブレイン(脳)インターフェースデバイスの構造と機能を改善するための、シリコンエレクトロニクスの開発が進められている。

 脳に刺激を与え、パーキンソン病やてんかん、聴力や視力の喪失、神経変性疾患などを含む神経学的な問題を軽減するための電極を収納する埋め込み電極デバイスは、比較的新しいものだ。

 世界的に見ても、これらのデバイスの使用例は数万件にとどまると見積もられている。その理由は、これが米ニューヨークにあるコロンビア大学の研究者らが「極めて荒削り」と呼ぶ種類の処置であるだけでなく、侵襲的で、危険で、効果がない場合もあるからだ。

 同大学の研究機関Columbia Engineeringの研究チームは7月、埋め込みデバイス用の新たなシリコンエレクトロニクスを開発する4年間のプロジェクトで、米国防高等研究計画局(DARPA)から1580万ドルの助成金を獲得したと発表した。このデバイスは、従来よりもはるかに侵襲性が低いものになると期待されている。

 同チームは「脳と相互作用するチャネルが従来よりも多く、より侵襲性の低い埋め込みデバイスの発明は、ブレインマシンインターフェースの革命的な改善につながる可能性がある。これには、聴覚野や視覚野への直接的なインターフェースが含まれ、人工的なシステムが脳の機能を支援する方法を劇的に拡大する可能性がある」と述べている。

 コロンビア大学のKen Shepard教授は、シリコンを使用した埋め込み型ブレインインターフェースデバイスの研究と開発を目的とした研究プログラム「Neural Engineering System Design」(NESD)の研究チームを率いている。


Shepard氏らのチームが設計したフレキシブルなマルチエレクトロードアレイ。
提供:Ken Shepard

 このチームは、脳表面に刺激を与え、信号を記録する機能を持ち、順応しやすく、軽量で、脳組織を貫通するのではなく迂回することができる、柔軟な電極のアーキテクチャを作ることを計画している。

 このチップには、無線充電技術が使用される。

 Shepard氏の研究チームには、悠長に過ごす時間はない。同チームには、100万チャネル規模の埋め込みデバイスを開発し、4年間のプロジェクト終了までに、ヒトへの影響を調べる臨床試験を行う許可を、規制当局に対して申請することが求められている。

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