展望2020年のIT企業

企業風土改革に取り組む日本ユニシスの理由

田中克己

2018-06-21 07:00

 「リスクをチェックするレビュー文化では、イノベーションを起こせない。リスクテークしながら、失敗を許容するなどトライを推奨し、チャレンジした人をリスペクトする文化にする」

 日本ユニシスの平岡昭良社長は、人月ビジネスのシステムインテグレータ(SIer)からサービスインテグレーターへのビジネスモデルに転換するために、企業風土改革に力を入れる理由を説明する。

 目指すのは、業種や業界の垣根を越えて共存共栄する仕組みのビジネスエコシステムを創出する企業。その変革を妨げる大きな要因の1つが組織、つまり人になる。しかも、変革が進めば進むほど、組織や人が変革に立ちはだかる。創業60年になる日本ユニシスが取り組む企業風土改革を紹介する。

組織改革と人材育成、働き方改革に着手

 企業風土改革の施策作りにあたっているのが、業務部長を務める白井久美子執行役員だ。2016年にその専門部署を設置し、組織改革と人材育成、働き方改革の様々な施策を実行してきた。「風土改革は、単に社内の雰囲気がよくなかったとか、居心地が良くなったということではない。

 業績を良くするための組織のあり方で、ゴールとKPI(重要業績評価指標)を設定する」(白井氏)。例えば、営業利益を社員数で割った労働生産性を30%アップする、300人の変革リーダーを育成する、女性管理職を10%にする、などといった目標を数値化した。社員に企業風土変革の意義、目的を浸透させるため、専門ポータルを立ち上げたり、冊子を作成したりし、経営陣が示す目指す姿などのメッセージを発信する。

 ビジネスエコシステムを創る環境も整える。1つは、平岡社長が約3年前に始めたプリンシパルだ。熱意のある社員や部署から推薦された社員らが集り、アイデアとその実現に取り組むもの。その発展系と言えるビジネス創出ワークショップでは、オープンイノベーションをどう実現するのか、どんなビジネススキームにするのか、といった実践もする。

 その中から、保育業務支援クラウドサービスのチャイリーフスペース、配車システムのスマートタクシーといったビジネスが生まれた。「多くは知財として、どこかで復活させる」(白井氏)とし、事業化のアイデアは増えているという。

 アイデアは部門などでも共有する。2017年には、SE部門にタイム・ツー・シンク(T3)活動と呼ぶチャレンジ制度を設けた。週3時間、稽古ごとなど仕事以外のことをやれるもの。アイデア・ハッカソンの大会やテクニカルシンポジウムというアイデアの発表会も毎年開催し、役員の目にとまったものに予算をつける。発表するチームは年々増えており、最近は100を超える。月1回、朝8時に本社1階の喫茶店に集まり、オープンイノベーションの情報交換やピッチといったモーニング・チャレンジも開く。

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