スパコン「TOP500」は依然Linuxが独占--新たなトレンドも

Steven J. Vaughan-Nichols (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2018-06-30 08:30

 2018年6月に発表された最新のスーパーコンピュータランキング「TOP500」でも、高速なコンピュータを作りたければ、最高のOSはLinux系であることが再び証明された。ランキングに挙がったすべてのマシンがLinux系OSで動作している。

 Linuxがスーパーコンピューティング業界の主流になってから、もう何年も経つ。しかしすべてがLinuxになったのは2017年11月であり、つい最近のことだ。TOP500にランクインしたすべてのスーパーコンピュータがLinuxになったのは、このときが初めてだった。それまでは、UNIXの一種である「IBM AIX」がリストの下位にぎりぎりで残っていた。

 今後もスーパーコンピューティング分野におけるLinuxの支配が続くことには、疑問の余地はない。これは単純に、競争そのものが存在しないからだ。

 あるとすれば、Red HatなどのLinux企業間の競争だけであり、これはLinuxが君臨し続ける助けになるだろう。Red Hatは新たに首位を奪った米エネルギー省オークリッジ国立研究所の「Summit」を支援しており、このスーパーコンピュータでは、すべてのリソースを高速かつスムーズに利用するため「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)が使用されている。

 ただし、ハードウェアについてはまた別の話がある。今回は、アーキテクチャのトレンドに大きな変化が見られた。

 最新のTOP500ランキングでは、新たに増えた計算能力の56%がNVIDIAのGPU「Telsa」によるものだった。新たなチャンピオンであるSummitでは、IBMのCPU「Power9」2基とNVIDIAのGPU「Tesla V100」6基で構成された基板が使われている。NVIDIAによれば、Summitのピークパフォーマンス(187.7ペタフロップス)の95%が、2万7686基のGPUによって生み出されているという。

 NVIDIAは、SummitよりもGPUへの依存度が低いが、世界で3番目に高速なスーパーコンピュータである「Sierra」(LINPACKによるベンチマークで71.6ペタフロップス)についても数字を出している。Sierraでは、デュアルソケットのPower9のノードに(6基ではなく)4基のTesla V100を搭載した基板が使用されている。それでも、使われているGPUの数は1万7280基に及び、システムのパフォーマンスの大部分はGPUによるものだ。

 このLinux優位とGPUの重要性の拡大という2つのトレンドは、今後も強まっていくだろう。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

自社にとって最大のセキュリティ脅威は何ですか

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]