海外コメンタリー

AIや自動化で変わる「仕事の未来」を定義していくという難題--データ駆動がカギに?

George Anadiotis (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2019-02-05 06:30

 職域や作業、スキルの関係を理解し、捕捉していくというのは、仕事の未来を考えるうえで欠かせないことだ。現在の取り組みが不十分だというのであれば、どのような取り組みができるのだろうか?

 世界経済フォーラム(WEF)の年次総会がスイスのダボスで現地時間1月22日から開催され、その重要課題の1つに仕事の未来が挙げられていた。このため、同分野における現在のトレンドを理解するとともに、ダボスでメモを取ったり、議論に参加したりしていた人々の洞察についてじっくりと考えてみる絶好の機会がやって来たと言えるだろう。

 今回の議論では、自動化や人工知能(AI)が労働や、労働力の力学、職場の変革などに与える影響という、現時点でまだ明らかになっていないこともテーマとして採り上げられていた。以下では、WEFが公開した最新の「The Future of Jobs」(職の未来)レポートに基づき、今日における大きな流れに目を向けている。また、CareerBuilder傘下のTextkernelでオントロジーの責任者を務めるPanos Alexopoulos氏とともに、そういった流れが雇用市場の背後にあるテクノロジにどのような影響をもたらすのかについても考察する。

 Textkernelは、世界の大手求人情報サービスの1つである「CareerBuilder」を支えている。Textkernelは、多言語でのセマンティック検索や、マッチングテクノロジといった高度な機能をCareerBuilderにもたらしている。知識表現や推論の専門家であるAlexopoulos氏はTextkernelにおいて、求職者と機会をマッチングするためのナレッジグラフを構築するチームを率いている。Alexopoulos氏と筆者は、雇用のトレンドが同氏の仕事にどのような影響を与えるのかについて議論した。

オートメーション vs. オーグメンテーション:職域、作業、スキル

 WEFのレポートにおける重要なポイントの1つに、AIの登場によって自動化が進展し、自動化される作業が増加していくというものがある。しかしそれと同時に、作業と職域が同じものになるとは限らないという重要な所見も示されている。

 秘書の職域がその好例だろう。タイピングや通信事務(郵送や電話連絡、ファックスなどの作業)は秘書という職域の中心を占めていた。これらの作業に関するスキルは時とともに変わってきた(タイプライターや封筒の代わりに、ワープロや電子メールが使われるようになったことを思い浮かべてほしい)一方、例えば口述筆記などの分野でテクノロジが進歩するのにともない、そうした仕事はほぼ完全に自動化されるという予測も考えられる。

 現在では、ワープロや電子メール、音声認識機能が一般的になっているが、秘書という職域は依然として存在している。秘書たちは新たなスキルを身に付け、より生産的になっている。その作業は部分的に自動化されており、近い将来には完全に自動化される可能性もある。しかし、秘書という職域は完全にオートメーション(自動)化されたわけではなく、オーグメンテーション(拡張)の対象となってきているだけなのだ。秘書たちはより付加価値のある作業をこなすことで、その地位を守れるというわけだ。

タイピング
現代のタイピングは昔のそれと同じではなく、秘書の職域も昔と同じものではない。職域はその作業やスキルとともに変化していく。
提供:Hello I'm Nik on Unsplash

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