NEC、自動運転の安全性向上に向けたネットワーク制御技術の実証実験

NO BUDGET

2019-02-27 10:57

 NECは2月21日、自動運転の安全性向上に向けた適応ネットワーク制御技術の実証実験を実施したと発表した。

 同実証は、モバイルネットワークにおいてリアルタイムの通信制御が求められるサービスの実現に向けたもので、緊急度の高い車両に無線リソース(周波数帯域や通信時間)を割り当てる適応ネットワーク制御技術を同社のMECサーバと基地局に実装して行われた。

 その結果、車両の位置情報や道路の周囲を撮影するカメラ画像などの分析結果をもとに、基地局が緊急度の高い車両へ優先的に無線リソースを割り当てることで、安全運転支援に必要な通信遅延時間100ミリ秒以内を安定的に実現できることを確認した。

実証実験のシナリオ(出典:NEC)
実証実験のシナリオ(出典:NEC)

 安全性が最重要となる自動運転では、見通しのきかない場所にいる人間や物体との衝突を回避するため、複数の車両や街頭カメラなどのIoT端末間で位置や画像などの情報をリアルタイムに共有し、車両を制御する技術が求められている。しかし、既存のモバイル通信網では、基地局に接続する端末の数や通信のデータ量が増えて無線リソースが不足すると、車両制御に遅延が発生し、円滑・安全な自動運転が困難になるという課題があった。

実証実験の様子(出典:NEC)
実証実験の様子(出典:NEC)

 実証では、電波暗室内に模擬した交差点で街頭カメラの画像をMECサーバが画像解析し歩行者を検出するとともに周辺車両の位置情報を収集し、それらの情報を個々の車両とリアルタイムに共有する自動運転の環境を構築した。そして交差点付近のLTE基地局には商用装置を用い、車両模型、カメラ、スマートフォンなど複数の多様な端末を接続して、無線リソースが不足した状態を再現した。

 その環境で、端末からの情報や通信の状態などをもとに、MECサーバ上で動作するContext-aware Service Controller(CSC)で通信の遅延時間や時間内に送るデータサイズの目標を決定し、CSCの要求に応じてLTE基地局が緊急度の高い端末へ無線リソースを優先的に割り当てる、適応ネットワーク制御技術の検証を行った。

 CSCとLTE基地局の連携により、交差点を横断する歩行者に接近する車両や後続の車両に対して、目標遅延100ミリ秒以内に注意喚起の情報を届けるように優先的に無線リソースを割り当てたところ、従来は車両とMECサーバ間を往復する通信の遅延が100ミリ秒以内となる確率が27%だったが、同技術の適用により99%に改善することが確認された。

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