海外コメンタリー

VR/AR/MRのビジネス活用で現実的なメリットを得るには

Forrester Research (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2019-04-04 06:30

 2018年8月、筆者はある記事で、拡張現実(VR)や仮想現実(AR)、複合現実(MR)(総称して「XR」とも呼ばれる)のよい事例があれば教えてほしいと呼びかけた。その記事では、XRの事例は、視覚的には素晴らしいが、技術のすごさを示す以外にはまったく役に立たないものが多いという不満について書いた。拡張現実ヘッドセットを使ってあるワークフローを実現したが、実は紙とペンを使った方がはるかにシンプルで、安価で、効果的だと思われるようなケースもあった。しかし、今すぐ実現できて、時間や費用を抑えることができ、現実的なメリットも得られる地に足の付いた利用法も存在する。また、以前は非現実的だったが、ハードウェアやソフトウェアが進歩したことで、費用が削減され、使いやすさも向上し、新鮮な目で評価できるようになった事例もある。それらの技術の一部は、今日からでもビジネスで使い始めることができるかもしれない。

 筆者がXRに関する最新のレポートをまとめるために調査を進めていく過程で、すぐに明らかになったことがある。リッチで没入感の高い環境を作ることが重視され過ぎているのだ。しかし、現時点で成功している事例の多くでは、XRはもっと平凡な使われ方をしている。多くの場合、効果を発揮しているのは、単なるVRによる基本的なトレーニングであったり、拠点へのテレビ電話だったりする。しかし、スタッフを訓練センターまで出張させる時間と経費を節約したいグローバル企業であれば、それでも大きなメリットになり得る。

 機械設備や工業品などの代理販売を行っている南アフリカの企業Barloworldは、アフリカ南部のさまざまな場所で働く保守要員の支援にARを利用しているほか、保守要員を現地に派遣する前に、顧客にどういう状況で問題が起きるのかを動画で実演してもらうことを検討している。保険会社Allianzでは、スペインで損害査定人による保険金請求の査定を動画越しに行わせることで、移動距離にして630万キロ相当の出張が不要になった。Nokiaでは、VRで工場労働者に新たなワークフローを習得させ、実際にフロアでその作業を始める際には、ARを使って注意事項を与えている。

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