松岡功の「今週の明言」

インテル社長が語る「顧客企業のトップが示したデジタル時代への危機感」

松岡功

2019-04-05 10:17

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、インテルの鈴木国正 代表取締役社長と、アビームコンサルティングの安部慶喜 執行役員の発言を紹介する。

「どの企業も今後5年、10年と同じ事業領域を継続していけない」
(インテル 鈴木国正 代表取締役社長)

インテルの鈴木国正 代表取締役社長
インテルの鈴木国正 代表取締役社長

 インテルが先頃、四半期ごとに実施している定例会見を開き、事業の近況や注目分野の取り組みなどについて説明した。ソニー幹部を経て2018年11月1日に米Intelの日本法人であるインテル社長に就任した鈴木氏の冒頭の発言は、その会見でのデジタルトランスフォーメーション(以下、デジタル変革)をめぐる話の中で、顧客企業の経営トップと意見が一致した内容として紹介したものである。

 鈴木氏は会見で、新しい市場機会の創出に向けたテーマとして、デジタル変革について自身の見解を次のように述べた。

 まず、デジタル変革を取り巻く日本の環境については、「社長就任から、これまで相当数の経営トップのお客さまにお会いし、お話をして感じているのは、デジタル変革の重要性についての認識は非常に高いことだ。自社の事業への危機感も、ほぼ全てのお客さまが口にされている。ただ、そこから具体的な行動を起こす上で何をすればよいのか、と悩んでおられる方々が多いようだ。企業を持続的に成長させていくためにも、デジタル変革への具体的な取り組みにできるだけ早く着手すべきだ」との見方を示した。ちなみに、この中にある「危機感」が冒頭の発言である。

 では、そうした顧客企業の取り組みを、インテルはどのように支援していくのか。鈴木氏はその支援策の内容について、さらなる深みを目指して検討するため、2018年12月に社長直轄の「コーポレート戦略チーム」を発足させた。同チームで取り組むのは、「各産業ごとにビジネス機会を深堀りする」「既存顧客やパートナーごとの対応」「人工知能(AI)やInternet of Thing(IoT)など先進的なソリューションテクノロジの利用と展開」の3つである。

 同氏はこの3つの取り組みについて、「それぞれ個別ではなく、うまく連携させながら、当社ならではのデジタル変革支援策を打ち出していきたい。そして、お客さまおよびパートナー企業とともに、デジタル変革による新しいビジネスをどんどん創出していきたい」と語った。(図参照)

図:デジタル変革支援に向けたインテルの取り組み
図:デジタル変革支援に向けたインテルの取り組み

 今回は、鈴木氏がインテルの社長に就任して新年最初の定例会見とあって、いつも以上に多くの記者が駆けつけた。2018年10月に行われた同氏の社長就任会見については、関連記事をご覧いただきたい。社長に就いてまだ5カ月というタイミングながら、今回の会見では自分の思ったことを自分の言葉で話そうとしている姿勢が印象的だった。今後の経営手腕に注目しておきたい。

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