トップインタビュー

「BI活用はツールの話だけではない」--マイクロストラテジーが指南

聞き手・文=松岡功

2019-06-04 06:00

 企業において、もっとBI(ビジネスインテリジェンス)が活用されるようになるためにはどうすればよいか。創業30年のBI専業ベンダーで、今も多くの企業に支持されている米MicroStrategyの日本法人マイクロストラテジー・ジャパンのプレジデントを務め、BI分野に長年携わってきた印藤公洋氏に聞いてみた。

企業ビジョン「Intelligence Everywhere」の意味とは

 「企業におけるBIの利用は拡大しつつあるが、経営やビジネスへの必要性を考えれば、もっともっと広がっていいはずだ」――。印藤氏にインタビューした際、まず最近のBI市場をどのように見ているか、と聞いてみたところ、こんな答えが返ってきた。

マイクロストラテジー・ジャパン プレジデントの印藤公洋氏
マイクロストラテジー・ジャパン プレジデントの印藤公洋氏

 そこで今回のインタビューでは、企業がBIをうまく活用するためには何を考え、どうすればよいか、についてアドバイスをいただいた。

 その前に、MicroStrategyについて紹介しておこう。日本ではあまり知られていない同社だが、米国バージニア州に本社を置くNASDAQ上場の独立系ベンダーで、2019年に創業30年を迎えた老舗だ。世界27カ国に事業拠点を持ち、従業員数は約2100人。顧客数は世界で4000社以上を数える。

 印藤氏によると、同社の特徴は「創業30年のBI専業ベンダー」に加え、「製品開発に投資する技術中心の会社」「顧客は大手企業で深く広く使われている」の3つ。そして、企業ビジョンは「Intelligence Everywhere」。“知見をどこにでも埋め込もう”という意味で、「すべての人がインテリジェンスにアクセスできる」(図1)、「分析者にとどまらない、すべての人のためのアナリティクス」(図2)といったモットーを掲げている。

 印藤氏はそんな同社の日本法人のプレジデントをこれまで10年務めており、その前も複数のBIベンダーの社長を歴任した経験を持つ、まさにBI分野のオピニオンリーダーの一人である。なお、マイクロストラテジー・ジャパンでは先頃、記者会見を開いてBIプラットフォームの新製品を発表した。その内容については関連記事をご覧いただくとして、本稿では先述したように、企業におけるBI活用法のアドバイスを同氏に幾つか挙げてもらった。

 まず、最初のアドバイスは「予算の取り方」だ。MicroStrategyの製品をはじめ、企業で今、使用が広がりつつあるのは「セルフサービスBI」と言われる種類だ。かつてはIT部門が運用する「エンタープライズBI」が中心だったが、その後、文字通りエンドユーザー自身で分析やレポートの作成ができるセルフサービスBIが広がった。

 この種類の話が予算の取り方にどう関係しているのかというと、「BIはすべてのエンドユーザーが活用し、それぞれのビジネスやマネジメントに必要なもの。従ってIT予算ではなく、各部門の事業予算で導入すべきだ」というのが印藤氏のアドバイスだ。

 また、予算というと、投資対効果(ROI)の話が出てくるが、「ビジネスやマネジメントにおける日々のさまざまな意思決定は、現状を把握するためのデータを見ないとできない。BIはその作業を素早く効率的に行うものなので、BIのROIはまさしく業績に直結すると考えるべきだ」と同氏は言う。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]