松岡功の一言もの申す

「衝撃」のその後--シェアリングエコノミーの最新状況

松岡功

2019-07-18 10:26

 ここ2年ほどで一気に注目を集めた印象がある「シェアリングエコノミー」。「衝撃」の登場からその後の状況はどうか。PwCコンサルティングが行った最新の調査結果からポイントを取り上げ、考察してみたい。

認知から利用への一歩が踏み出せない状況が続く

 PwCコンサルティングが先頃発表した「国内シェアリングエコノミーに関する意識調査2019」によると、「シェアリングエコノミー」という言葉の認知度は26.9%で、2018年から4.8%高まった。ただ、その中身は「聞いたことはある程度」が22.4%で、「具体的に知っている」は4.5%にとどまった(図1)。

(図1)「シェアリングエコノミー」の認知度(出典:PwCコンサルティングの「国内シェアリングエコノミーに関する意識調査2019」)
(図1)「シェアリングエコノミー」の認知度(出典:PwCコンサルティングの「国内シェアリングエコノミーに関する意識調査2019」)

 同社では、シェアリングエコノミーとは「個人などが保有する遊休資産などを、インターネット上のプラットフォームを介して他の個人などが必要なタイミングで利用することを可能にする経済活動の総称」と定義している。遊休資産とは活用されていない資産のことで、有形のものだけでなくスキルや時間など無形のものも含む。

 この調査では表1に挙げた内容を対象としている。調査は2019年5月、国内全域の一般消費者(16歳〜70代の男女)を対象にウェブによるアンケート形式で実施し、2000人から回答を得たという。

 認知度という点では、表1の内容を説明した上で「いずれかのサービスを知っている」と回答した割合が47.5%と、2018年より5.1%高まった。その47.5%の人たちに、表1のカテゴリー別の認知度を聞くと、「移動手段」「モノ」「場所・空間」が上位に。この傾向は過去2回の調査と変わらなかった(図2)。

(図2)カテゴリー別の認知度(出典:PwCコンサルティングの「国内シェアリングエコノミーに関する意識調査2019」)
(図2)カテゴリー別の認知度(出典:PwCコンサルティングの「国内シェアリングエコノミーに関する意識調査2019」)

 シェアリングエコノミーのサービスを国内で利用したことがあるかとの質問に対しては、15.4%が「ある」と回答。2018年より2.1%増えたが、勢いがない。同社では「認知から利用への一歩が踏み出せない状況が続いている」と見ている。

 シェアリングエコノミーのサービスをカテゴリー別で見た利用意向は、図3に示す結果となった。右側のグラフが「利用したい」と「検討してもよい」を合わせた「利用に前向きな意見」の数値で、同社では「移動手段」と「場所・空間」の2つが40%を超えたことをポイントに挙げている。

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