「対面文化」の不動産業界、東急リバブルに聞くオンラインへの取り組み

國谷武史 (編集部)

2020-08-28 06:00

 新型コロナウイルス感染症の影響はさまざまな業界に及んでいるが、特に対面を基本としてきた業界での影響は非常に大きく、不動産業界もその1つに挙げられるだろう。こうした中、東急リバブルはオンラインツールの活用を進めている。

未経験のオンライン接客に不安

 同社は、不動産売買を中心に約190店舗を展開している。コロナ禍の前から業務効率化を図るためにGoogleのG Suiteなどのオンラインツールを導入していたが、接客など顧客とのコミュニケーションは対面が基本だったという。国内で第一波とされる新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた時期は店舗の営業時間を短縮する対応などを余儀なくされたが、政府の緊急事態宣言を受けて4月18日から全店舗の店頭営業を休止したことで、対面での接客がより困難になってしまった。

東急リバブル マーケティング推進部 マーケティング企画課長の久保英士氏
東急リバブル マーケティング推進部 マーケティング企画課長の久保英士氏

 マーケティング推進部 マーケティング企画課長の久保英士氏は、顧客と対面ができない状況下でそれに代わる方法が急がれたと話す。「元々G Suiteに含まれるオンライン会議ツールのGoogle Meetを利用できる状況でしたが、不動産業界は対面での接客を基本とする文化があり、ほとんど利用していませんでした。緊急事態宣言下でもビジネスを止めるわけにいきませんし、新しいツールの導入に時間をかけられませんから、スピードを重視して既にあるGoogle Meetの活用を決めました」

 店舗の店頭営業休止により営業担当者も在宅勤務に移行した。店頭での新規の商談や以前から商談中だった顧客への対応が難しい中では、オンラインツールによるリモート対応が切り札になると期待されるが、それまで利用機会が少なかったオンライン接客を一気に展開するには困難が予想される。久保氏は、「どこかの部門が音頭を取らなければ推進できませんから、今回はマーケティング部門が中心役になり進めています」と話す。

 Google Meetを使ったオンライン接客は4月に部分導入し、5月21日から本格的に実施している。不動産に関する相談は非常にきめ細かい内容になることが多く、同社では対面を希望する顧客にも感染防止策を適切に講じて対応しており、オンラインは接客方法の選択肢の1つと位置付けている。

 オンライン接客は本格導入から約1カ月で200件以上の利用があり、現在も増えているという。顧客から感染対策だけでなく遠隔地に居住していても相談ができる利便性を評価する声が寄せられているとのこと。未経験のオンライン接客に抱いていた不安は、結果的に杞憂(きゆう)だったようだ。

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