インフォマティカ、データ管理クラウド「Intelligent Data Management Cloud」を発表

末岡洋子

2021-04-15 06:00

 データ管理のInformaticaは米国時間4月13日、年次イベント「Informatica World 2021」を開催した。最高経営責任者(CEO)のAmit Walia氏は基調講演で、データ活用を進める取り組みの集大成として「Intelligent Data Management Cloud(IDMC)」を発表、「データのみにフォーカスした初のクラウドサービスで、デジタルトランスフォーメーション(DX)の土台になる」と意気込む。

Informatica 最高経営責任者のAmit Walia氏は
Informatica 最高経営責任者のAmit Walia氏は

 Walia氏はまず、DXの中心としてのデータの現状から話した。デジタルモダン化とDXとの違いとしてDXは、(1)新しい製品とサービスを提供し、(2)既存に加えて新しい顧客エンゲージモデルを構築し、(3)新しいオペレーティングのモデルを構築し、(4)新しいビジネスモデルを構築すること――と説明した。同社自身も「戦略的マインドセット」「クラウドネイティブ」「データ主導」「AI(人工知能)中心」の4つをキーワードに、変革を図ってきたという。

 続けて市場の動向では、「80%のCEOがパンデミックでDXを加速し、90%の企業が複数のクラウドプロバイダーを使っている。80%の企業は、データとアナリティクスへの投資をしなければ、2025年までにDXが失敗すると見ており、75%の企業が2024年までにAIを運用環境で利用する計画だ」と述べ、各種データを引用した後に、同社の予言として次の3つを挙げた。

  • クラウドファーストかつマルチ/ハイブリッドに(あらゆるクラウド、オンプレミスも混在する環境)
  • データファースト体験が重要(インフラ、アプリケーションは所有せず、データのみを所有。データファーストで差別化のある体験を構築)
  • データのトラストとプライバシーが重要(クラウド利用が増えるにつれて、プライベートや機密データが増える。これらを活用するためには、土台からトラストとプライバシーへのアプローチを組み込む必要がある)

 Informaticaは、少し前から「データ4.0」に向けた戦略を進めてきた。AI/ML(機械学習)プラットフォーム/エンジンの「CLAIRE」、クラウドのデータマネジメントへの投資などを通じて、インテリジェントデータプラットフォームを構築するもので、今回これらをベースとするIDMCを発表した。

 「業界初で唯一、最も包括的で拡張性のあるデータ管理にフォーカスしたクラウド」とWalia氏は述べた。

 IDMCは、データ管理のためのクラウドとして、マルチクラウド、オンプレミス、サーバーレスと、データの場所を問わず必要なデータを必要な人が利用できるようにする。データのカタログからのデータ統合、アプリケーションやAPIのインテグレーション、データプリパレーション、マスターデータマネジメントなどの機能があり、合計で200以上のサービスを利用できる。

 CLAIREを中核に据えており、メタデータにAIを適用することで、インテリジェントな管理を可能にする。「データを1カ所に集める必要はない。だが、メタデータを1カ所に集めることで自動かつインテリジェントに管理ができる」(Walia氏)

 AIに加えて拡張性も特徴とする。サーバーレス、マイクロサービスベースのアーキテクチャーにより、「データがどこあっても、正しいデータを活用して、タイムリーな意思決定を支援する」(Walia氏)という。なお、Walia氏によると、クラウド上のトランザクション数は毎月17兆回に到達している。数年前までは5000億回であり、急増しているとのことだ。

Informaticaの「Intelligent Data Management Cloud(IDMC)」
Informaticaの「Intelligent Data Management Cloud(IDMC)」
デモでは、Eコマースの比率を増やしたい小売業がIDMCを利用してセマンティック検索により分散したデータの中から最適な顧客データを探して顧客の購買パターンを分析するなどのことを行い、マーケティングチームとデータチームが協調してDXを進める様子を見せた
デモでは、Eコマースの比率を増やしたい小売業がIDMCを利用してセマンティック検索により分散したデータの中から最適な顧客データを探して顧客の購買パターンを分析するなどのことを行い、マーケティングチームとデータチームが協調してDXを進める様子を見せた

 Walia氏はまた、ノーコード/ローコードでのデータアクセスや処理、コンサンプション(消費)、設計段階から組み込んだセキュリティと信頼性なども特徴に挙げた。

 「われわれのビジョンは、全ての組織のデータがさらに価値あるものとなり、これまで想像もしなかった規模で前例のない素晴らしい結果が提供できるようになる世界を作ることだ」とWalia氏は語る。DXが加速する中、IDMCでデータ主導でのトランスフォーメーションを支援するとした。

 この他に、3大クラウドプロバイダーとのコラボレーションも発表した。

 Microsoftとは、Azure上のIDMCでデータ統合とデータ読み込みを無償利用できるようにし、Azure Synapse AnalyticsでIDMCを試行できるようにする。また、AzureのIDMCリージョンをシンガポールとドイツにも拡大する。

 Google Cloudとは、Informaticaのビッグデータ統合ソリューション「Cloud Data Integration Elastic(CDI-E)」の提供を開始し、「Cloud Mass Ingestion」の強化なども発表した。

 Amazon Web Services(AWS)とは、統合クラウドネイティブデータガバナンスとクラウドカタログ・アズ・ア・サービス「Informatica Cloud Data Governance & Catalog」をプレビューとして提供する。

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