筆者は「Ubuntu Linux」が大好きだ。またこの記事を読んでいる読者であれば、やはりUbuntuが気に入っている方が多いだろう。Ubuntuは、筋金入りのLinuxデスクトップファンだけでなく、人工知能(AI)や機械学習(ML)分野の開発者にも人気がある。しかし、Ubuntuがうまくユーザーを獲得できていない分野がある。企業の世界は、依然として「Windows」に支配されているのだ。その理由の1つは、多くの大企業がユーザーとネットワークリソースへのアクセスの管理を「Microsoft Active Directory(AD)」に依存していることだろう。しかし今回、「Ubuntu 21.04」(通称「Hirsute Hippo」)がリリースされたことで、状況が変わるかもしれない。
Ubuntu 21.04のデスクトップは、インストール時にADドメインに参加して、中央から一元的に設定できるようになった。ADの管理者がUbuntuワークステーションを管理できるようになるため、企業のポリシーを簡単に適用できるようになる。
また、新しいUbuntuでは、ADのドメインコントローラーからシステムの設定を行う機能も追加された。システム管理者は、グループポリシークライアントを利用し、接続されたクライアントすべてのパスワードポリシーやユーザーアクセス制御などのセキュリティポリシー、ログイン画面、バックグラウンド、お気に入りアプリなどのデスクトップ環境を指定できるようになった。
なぜCanonicalはこれらの機能を追加したのだろうか。その答えは単純で、オフィスのデスクトップにUbuntuを使いたいという需要があることが判明したからだ。Ubuntuの開発を担っているCanonicalの最高経営責任者(CEO)Mark Shuttleworth氏は、「UbuntuにActive Directoryをネイティブに統合することは、わが社のエンタープライズ顧客の最優先事項だ」と述べている。
筆者はほとんどのテストを、2011年の「Dell XPS 8300」(3.4GHzクアッドコア「Core i7」プロセッサー、RAM 8GB)という時代遅れのマシンで行った。このマシンで「Windows 10」を使おうとすれば動作はぎこちなくなるだろうが、Ubuntu 21.04は快適に動作した。
フランス国家憲兵隊のStephane Dumond氏は、「Canonicalのデスクトップソリューションはコスト効率が良く、大規模に管理しやすく、エンタープライズシステムとの統合がシンプルだ。10万人の警察官にもUbuntuは使いやすく、信頼性があり、サードパーティーのソリューションを追加しなくても必要不可欠なプライバシー、セキュリティを提供する。Ubuntuはわれわれに適したオペレーティングシステムだ」とコメントしている。