コロナ禍でチームの交流を改善--ハイパーイノベーションに向け転換を図る企業

河部恭紀 (編集部)

2021-10-29 11:38

 2021年、企業が新しいテクノロジーや柔軟な働き方に投資したことで、グローバルの産業全体で6780億ドルの収益増加につながり、今後も継続的な成長が期待できるという。Citrix Systemsが公開した調査「ハイパーイノベーションの時代(英語)」の結果で明らかにした

 同調査は、ハイブリッドな働き方が求められる世界における創造性とコラボレーション、そして、イノベーションを促進するテクノロジーの役割について、米国、英国、フランス、ドイツ、オランダに居住し、大企業および中堅企業で働く1200人のビジネスリーダーを対象に実施。調査では、ハイパーイノベーションを「コロナ後、テクノロジーを駆使して引き起こされるイノベーション」と定義している。

 調査に参加したビジネスリーダーの約9割は、パンデミックの影響による新しいワークツールの導入により、個人やチームの交流が大幅に改善されたと回答。調査対象者の80%が、今後1年間で組織はハイパーイノベーションに向けて転換を進め、その結果、これまで以上に多くのアイデアを生み出すようになると予想している。

 かつては対面作業でしか創造性は生まれないという考えが主流だったが、テクノロジーがこの考えを変えたとCitrixは指摘する。

 「新型コロナウイルス感染症のパンデミックを通して、オフィスがどこにあるのか、どこで働くのかに関わらずイノベーションは起こせるということが証明された」とCitrixのビジネス戦略担当エグゼクティブ・バイスプレジデントを務めるTim Minahan氏は述べる。「ビジネスリーダーたちは当初は懐疑的だったが、今ではハイブリッドワークがもたらすメリットを認識しており、従業員が場所を問わず創造性や革新性を生み出せるツールやプロセスとともに働き方改革を進めている」(同氏)

 調査によると、対面でコミュニケーションができなくても、従業員が新しいつながり方を発見することで個人やチームのコラボレーションは大幅に改善され、より大きなイノベーションをもたらしているという。

 調査対象者の93%が、デジタルコラボレーションの増加に伴い、組織全体から多様な声が届くようになり、より多くのアイデアが表面化するようになったと回答。80%が、パンデミックの期間中、自由に考える時間が増えたことで、今まで以上にクリエイティブなアイデアが生まれるようになったとしている。

 直近の会計年度における成長の要因を見た場合、新しいテクノロジーの採用(16%)、新製品や新サービス(14%)、新しい働き方(14%)といったイノベーションが約半数を占めた。新規顧客の獲得(12%)、新市場への進出(12%)、マーケティング活動の強化(11%)といった、これまで企業の成長の主な原動力となっていた要因を上回る結果となった。

 Citrixによると、このトレンドに乗じるため、ビジネスリーダーたちは焦点を新製品や新サービスに移行しつつあるという。調査対象者の69%が今後1年間に研究開発への投資を増やす、また28%が現在のレベルを維持すると回答。削減を計画していると答えたのは3%のみだった。

 「イノベーションは偶然起こるものではない。適切なテクノロジーと働き方のもとで、従業員がベストなパフォーマンスを発揮できるよう努めている企業ではイノベーションが可能となり、本調査で明らかになったようなメリットを享受できる」とMinahan氏は述べている。

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