日立、ドローン活用した原料ヤード向け在庫管理システム--現場状況をクラウドに蓄積

NO BUDGET

2021-12-03 15:38

 日立製作所(日立)は、広大な原料ヤード(置き場)において、ドローンを活用し高効率な在庫管理を支援するクラウドサービスを電力・製鉄業界向けに開発し、提供開始した。原料ヤードは電力・製鉄事業者などが、鉄鉱石などの原料を船から荷揚げし山積み保管するのに利用する場所のこと。

ドローン活用による空撮データの収集・解析・可視化のイメージ
ドローン活用による空撮データの収集・解析・可視化のイメージ

 同サービスは、ドローンの空撮により現場状況をタイムリーに収集し、クラウド基盤上で蓄積、人工知能(AI)画像認識技術を用いて原料のパイル(山)を解析、可視化する。これらの機能により、現場の在庫状況を効率的に把握し、余剰在庫の削減といった適正な在庫管理に向けてワンストップで支援する。

 AI画像認識では数cm単位での解像度により、パイルごとに在庫量、空きスペース、形状などの在庫情報を自動解析する。また解析結果を業務データとして活用できる形式で出力・表示し、関係者間での円滑な情報共有も可能となっており、業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)に寄与する。

パイルの在庫量や空きスペースなどの自動識別・計測のイメージ
パイルの在庫量や空きスペースなどの自動識別・計測のイメージ

 原料パイルの解析では、クラウド上でパイルの3次元データを生成し、3次元データからパイルの位置を自動で認識して体積を算出するとともに、パイルごとの在庫量や空きスペース、形状といった在庫情報を自動で計測する。またノイズを自動除去する機能も備え、原料ヤードから原料を出す機材であるリクレーマなどの一部が計測時に空撮に入り込んだ場合にも、該当部分を除去して数cm単位での解像度で対象をとらえることが可能となっている。

 また原料ヤードの管理業務に特化したユーザーインターフェースも搭載しており、ヤードマップ上に、ユーザーの業種・業務に適した情報の表示や原料の銘柄情報を登録する機能などがある。これらの機能により、ヤードマップや在庫情報をデータ化し、原料調達部門などの関連部署と円滑な情報共有が可能となる。また蓄積したデータから、ヤードの運用効率性や累計の原料滞留時間などを可視化し、業務の高度化を図ることができる。

 日立では今後、データ解析機能の拡充などを図るとともに、適正な原料ヤードの在庫管理により、原料輸送のための配船計画の最適化を進め、物流に伴うCO2排出量や環境負荷の低減に寄与していくとしている。

 同サービスの利用価格は個別見積もり。

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