アップルの「略奪的なサプライチェーン」

dp 2005-10-26 19:05:21

 AMR ResearchのBruce Richardsonが、「略奪的なサプライチェーン」と呼ぶ状況について報告している。特定の製造会社が納入先企業との排他的な契約関係を利用して主要部品の納入を独占し、競合他社を締め出している状況のことを言う。こういうことは特に成長途上の市場で見られる。

 この例として、RichardsonはAppleのiPodを挙げている。彼は、韓国のチップメーカーであるSamsungが、市場価格の半額でフラッシュメモリチップをAppleに卸しているとして競合企業に攻撃されているという最近のニュースを指摘する。このスキャンダルによって、38億ドルのAppleとSamsungのジョイントベンチャーの話は結局破綻してしまったが、Appleにとっては大した痛手ではないようだ。

 さまざまな企業が行っている戦略的な動きのうちでも、フラッシュメモリの話が一番おもしろい。Appleは、発表日からの17日間でiPod nanoを100万台売りさばいた。新製品に対する莫大な需要を作り出す一方で、競合企業が主要部品にアクセスできないようにしていたのだ。

 このフラッシュメモリの話が本当なら、Appleは略奪的なサプライチェーンを築いたことになる。これによって打ち立てられた優位性は永久には続かないだろうが、これでAppleは他のすべてのMP3ベンダーを引き離すことになった。

 Richardsonによると、略奪的なサプライチェーンは他の分野や業界でも見られる。略奪的な振る舞いでパソコンの価格競争を促進しているDell、情報システムや極度に節約を強いる外注とロジスティクス戦略を取っているWal-Mart、そしてハイブリッドエンジン用のトランスミッションの市場で略奪的な戦略を取っているトヨタを例として挙げている。

 Richardsonは問う。「フラッシュメモリやハイブリッドエンジン用トランスミッションのような話は、企業にとって一生に1度くらいしか遭遇しないチャンスだろうか、それとも、第2のiPodやPriusを市場に送り出すことができるチャンスがもっと頻繁にあるのだろうか」。Appleやトヨタは、デザイン、革新、そしてチャンスを掴まえるタイミングの良さにおいてバランスのとれた、非常に稀な企業だというのが私の考えだ。

(Chris Jablonski)

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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