それはあり得ない - オラクルのMySQL買収とアメリカの電車男

飯田哲夫(Tetsuo Iida) 2006-02-19 01:19:49

それはあり得ないだろう、というような話を二つ。一つはアメリカの電車男の話。でもこれは、あの電車男ではなくて、ひたすら電車で移動する男の話。もう一つは、オラクルによるMySQL買収の話。

電車地獄

2月12日の日曜日、私と同僚はシカゴ経由でボストンへ向かうべく成田から飛行機に乗り込んだ。飛ぶこと12時間で経由地シカゴ着。ところが、この日、アメリカ東海岸は記録的な大雪。シカゴからボストンへ向かう便は、明日になっても飛ぶか判らないという。が、我々のボストンでのミーティングは、月曜と火曜の二日間。明日も飛ばなければ、最悪シカゴから帰国せざるを得なくなる。

ここで登場するのが、この日NYからボストンへ移動中の電車好きの上司。大雪でも電車だけは動いているから、シカゴから電車に乗れと言う。その移動時間が何と24時間。夜行列車のくせに、夜乗って朝着かない。夜乗って夜着くのである。恐るべしアメリカ。でも、アメリカ人的にもあり得ない選択肢だそうだ。

オラクルとMySQL

さて、電車の話を続けると、ZDNetの主旨からあまりに外れるので、オラクルへ話題を移そう。ZDNetの報じるところによると、オラクルがオープンソース・データベースの雄であるMySQLの買収に失敗したという。

オラクルといえば、かつてはMySQLにストレージエンジンを供給するInnobaseを買収したり、つい最近もSleepycat Softwareというオープンソース・データベースの企業を買収している。MySQLは、その人気から言ってもある意味本丸という言える相手である。しかも、MySQLは最近1,850万ドルの資金調達を実施しており、その出資者の中にはOracleの仇敵であるSAPが含まれているのだ。

オープンソースへの対抗策

しかし、オラクルによるオープンソース・データベース企業の買収というのは、今ひとつ違和感がある。オラクルは自らの商用データベースを持っており、その人気を奪うオープンソース・データベース企業を買収してしまうのは、短期的な戦略としては納得できても、根本的な解決策としては納得し難い。

オープンソースによる脅威に晒されるオラクルが、オープンソース・データベース企業を買収すれば、その製品ロードマップがオラクルのコントロール下に置かれ、仮にオープンであったとしても、もはやオープンソースとは呼べないものとなる可能性が高い。

その可能性が高いのであれば、今回のように買収を仕掛けられた側も抵抗するであろうし、仮に成功したとしても、次のMySQLがまた登場するに違いない。MySQLのCEOであるMarten Mickosは、買収を拒絶した理由として「会社が持つ独立性を維持したいためだ」と述べたという。最もな話である。

オラクル側からのコメントはないので、今回の買収の目的は判らない。なので、一般論として述べると、オープンソースの脅威に対する対抗策は、必ずしも買収による無力化にはない。ディベロッパーの力は最早そのくらいで萎えてしまうとは思えない。(最近、Seasar関連の仕事をしていると、ますますその思いが強い。)

オラクルの取れる最も効果的な対抗策は、オラクル・データベースそのもののオープン化戦略だろう。もちろん、現在同社の主要な収入源だけに、その進め方は慎重を要する。とはいえ、オープンソース企業を買収するよりも、自らをオープンソース企業とすることの方が、ディベロッパーからの賛同を得られるのではないだろうか。

再び電車地獄

さて、アメリカの電車男。24時間電車に揺られた後ボストンへ到着すると、吹雪は既になく、きれいな満月が空に浮かんでいた。翌日、2日分を1日に凝縮して朝から休み無くミーティング。その次の日は、5時起きで帰国の途に。あり得ん。 

ところで

前回お話したデブサミの「狛犬の飼い方教えます」のセッションは大変な盛況となりました。参加頂いた皆様、本当に有難うございました。ZDNetでも取り上げて頂いたので、ご興味のある方は是非ご覧になってみて下さい。

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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