暇なScottと忙しいJonathan -- JavaOne 2006

飯田哲夫(Tetsuo Iida) 2006-05-20 18:27:19

さて、初めて参加したJavaOne。開催地はサンフランシスコ、参加者は14,000人。参加前から、最後のセッションが夜10時半スタートということにその異常さを感じていたが、最初のGeneral Sessionからして凄まじい人の流れである。細かいセッション情報は各メディアからのレポートに譲るとして、初参加の印象を述べてみたい。

ScottからJonathanへ

実は一番面白かったセッションは、最終日のGeneral Session、前CEOでChairmanに就任したばかりのScott McNealyのパートであった。それは、自虐的なまでに、自分がいかにCEOでなくなったことによって、楽になったのかを面白おかしくプレゼンテーションするもの。"Top10 best things about not being CEO"などといって、「もうSOX法を気にしなくていい」とか「他に責めるべき人がいる」なんて言ってしまうのである。とはいえ、その裏にはCEOの役割をJonathanへ引き継いだことを明示的に示す意図が強く感じ取れた。

一方、Jonathanが登場したのは初日のGeneral Session。壇上にゲストとしてMotorolaのCEOやJBossのCEOなどを招き、これからSunが力を入れていく分野を示唆するような内容であった。しかし、藤井さんが言っているように、そこで大きなビジョンが提示されたわけではない。むしろ、"Participation Age"という昨年来のコンセプトを継承していると言った方がいいだろう。

先のScott McNealyのセッションと合わせて見れば、CEOは変わったけれども、それによってSUNの戦略に変化はないと読める。

オープンネスを巡って

さて、初日のGeneral Sessionにおいて、Sunのソフトウェア部門のEVPであるRich Greenは、"Openness"と"Compatibility"をキーワードとして挙げた。Java EE5の説明においても、Web2.0やSOAといったキーワードに加えて、.NETとの互換性が改めて謳われている。また、Sessionの中でも次々とオープンソース化宣言が出て、その度に拍手が沸きあがった。

一方、2日目のBEAによるGeneral Sessionにおいては、オープンソースの活用が積極的に謳われる一方で、ミドルウェア・レイヤーが全てコモディティ化しているわけではないこと、また、オープンソースとBEAを二者択一として見るべきではないこと、を強調していた。つまり、商用ソフトとしてのWebLogicが存立する領域があり、そしてそれらをオープンソースと組み合わせるべきという主張だ。このあたり、ハードウェア・ベンダーであるSUNとソフトウェア・ベンダーであるBEAとの違いが明確に表れてている。

ところで、その翌日のIBMのセッションにおいては、オープンソースのことがほとんど語られなかったのである。テーマはEclipseであるものの、Rationalの担当者がその開発管理の秀逸さをひたすら説明することに終始した。それ自体はなかなか面白いのだが、誰もがIBMによるJavaのテクノロジー戦略であるとか、オープンソース戦略がどこかで語られるに違いないと思って待ち続けたのに、結局それが出てくることはなかった。皆がオープンネスをキーワードに議論するなかで、まるで自分達はもうオープン化に関わるのは止めたとでも言わんばかりなのである。今ひとつ今回のIBMセッションの意図が読みきれない。

とはいえ、三者三様のオープンネスを取り巻く議論は、興味深いものであった。

さて、Seasarは?

今回、ひがやすをが話すこととなったSeasarのセッション、新参者のためかスタートがなんと夜10時半。しかもそのサイズ、600人は入れる部屋が割り当てられているのである。こんな広い部屋に、どれだけ集まってくれるのか実に不安であったのだが、参加者は70名を超え予想以上の集客であった。うち、日本人が40-50名であったが、外国人の方も20-30名くらいは来ていて、当初の目的でもある国外への紹介も果たせたと言える。

自分の役割はイントロダクションと締め。Seasarとは何ぞやと狛犬の写真で説明するあたり、外国人の方も結構面白そうにしている感じ。ひがやすをも練習の甲斐もあって、実に落ち着き払ってプレゼン完了。でも一番受けたのは急遽付け加えたHot Deployのデモの臨場感。質疑応答はボロが出そうなので無しにしたのに、強引に挙手して質問してくる観客が。。。それも何とかこなして無事終了。これをきっかけとして、国外でSeasarを試す人が出ることを切に願うばかり。来年は、もっと早い時間にセッション枠が移動することを祈りつつ。

イノベーションの震源地

さて、最終日、Spring Frameworkのセッション、"Q&A with Rod Johnson"に顔を出した。皮肉屋であるRod Johnsonは、Sunが今回のJavaOneで皆に参加を呼びかけたJCP(Java Community Process)に触れて、「コントロールされたコミュニティにおいてイノベーションが生まれることはない。イノベーションはオープンソース・コミュニティから生まれるのだ」という主旨の発言を行った。ここに、オープン・イノベーションを企業が活用する際の難しさを垣間見た気がするのである。

今回はJavaOneのセッションへ登壇し、またオープン化を巡るメジャー・プレーヤーとコミュニティーのせめぎあいを目撃し、更にはいろいろな参加者との交流もあり、ZDNetブロガーでSF在住の徳田さんとの出会いもあり、と盛りだくさんなJavaOne 2006でした。さて、明日帰国の途につきます。

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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