カレーの嫌いなインド人

飯田哲夫(Tetsuo Iida) 2006-07-29 09:25:11

英国マンチェスターにはラショルム(Rusholme)というインド料理ばかりが立ち並ぶエリアがある。別名をCurry Mileと呼ぶ。その名の通りひたすらカレー屋ばかりで、カレー好きにはたまらない。店の閉まるのが早いマンチェスターにおいて、このCurry Mileだけは不夜城の如く夜中までカレーを出し続ける。一方、ロンドンにもインド料理の集積地ブリックレーン(Brick Lane)がある。やや治安の悪いエリアであるが、ここもカレーを食うには困らない。

東京だと西葛西を除けば、イギリスに見られる程にインド文化が集積しているエリアは無いだろう。でも、夏はカレーだ。最近行った店を挙げてみると『インド風カリーライス』(日本橋)IVY House(大手町パレスホテル)Daba India(八重洲)Hana Curry(北品川)インディアンカレー(丸の内Tokia)ボルツ(神田)、トプカ(高輪)、DIYA(六本木ヒルズ)などなど。もはやカレー屋の無いところには出掛けないといった状況である。

あれ何の話だっけ? そう、今日はカレーの嫌いなインド人、ではなくて、アウトソーシングの嫌いなインド人の話である。

インドでのストライキ

Finextraによると、なんとインドの銀行でストライキがあったという。銀行員50万人が参加したため、65,000ある銀行支店のうち50,000店の業務に支障が出たという。その理由は何か。インドの銀行員は、当局が許可を下そうとしているリテール決済のアウトソーシングに反発しているのだ。つまり、これまでは金融機関にしか許されていなかったリテール決済のプロセッシング業務が、民間企業でも行えるようになるということだ。つまり、アウトソース出来るのである。

インドと言えばアウトソーシングの国だ。欧米の銀行が様々な事務処理をインドへアウトソースしているから、インドのIT企業にとってアウトソーシングの受託はお手のものだ。インドのリテール決済がアウトソース可能となれば、引き受け手には困らないだろう。労働組合によれば、リテール決済業務がアウトソースされれば25万人が職を失うという。だから怒っているのである。

得意技なのに何故

しかし、おかしな話である。インドへのアウトソースが失業者を生むという議論は欧米では以前からある。インド国内でこの議論が突如クローズアップされたのは、アウトソーシング・ビジネスが国外向けで、眼前にある国内ではそれほど進んでいなかったということであろう。

人に言うほどには自分では出来ていない、なんていうのは良くある話であるが、インドのアウトソーシング・ビジネスは欧米の金融機関の事務効率化と共に成長してきたという背景がある。これは所謂フラット化する世界でのリソースの再配置である。グローバルに進展するリソースの再配置が、欧米相手にビジネスを展開する中で、ローカルビジネスにも影響を与えるようになったと言うことだろう。

失職するかもしれない25万人。すごい数ではあるが、得意分野への再配置が行われればインドの力量も更に増すのではないだろうか。しかし、もしもではあるが、インドよりも中国の方がコストが安いという理由で、リテール決済のプロセッシングがインドから中国へアウトソースされたりしたら、これぞフラット化する世界である。

夏はカレーが元気の源。

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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