西葛西の幻想とLinuxの真実

飯田哲夫(Tetsuo Iida) 2006-12-24 01:56:27

今年はカレーを食べ続ける1年であった。そして、ついにやってきた西葛西カレー忘年会。なぜか自分の周りには知らない人が多く、嘘つき呼ばわりされるのだが、西葛西と言えばインド人居住者が多いことで有名だ。これまで行ったことは無かったのだが、当然カレーも本場の味が堪能できるに違いない。

先日飛行機の中で見たムンバイの生々しい映像が忘れられず、私の西葛西への期待は膨らむばかり。電車が西葛西の駅へ到着すると、そこはもはやムンバイ。ものすごい数のインド人が電車から吐き出され家路へ向かう。駅から続く街並みは、何百メートルにも渡って本場インドカレーの店で埋め尽くされている。まるでマンチェスターのカリーマイル、ラショルムのようだ。

というのはまぁ完全な幻想で、実際には普通の東西線沿線の街。でも、電車からは何人かのインド人が降りていた。目指したのは「スパイスマジック カルカッタ本店」。インド料理店が立ち並ぶ街角を夢想していたので、忽然と現れた一軒のインド料理店というシチュエーションはちょっとがっかりであるが、その味は期待を裏切らない。これ以上続けると、ただのグルメ記事になってしまうので、そろそろ本題へ。

Linuxの真実

私のイメージしていた西葛西の街並みは単なる幻想に過ぎなかったが、Linuxがいよいよメインストリームへ向かいつつあるというのは幻想ではないようだ。ZDNetにはオープンソースブログというUSのブログを翻訳した記事があるが、その中でも今年最も反響があったのが、「The war is over and Linux won」というエントリーだったという。その記事は、IBMによる調査を引用し、「大半の企業管理者が2007年度のLinux予算を増やそうと計画している一方で、Windowsへの支出拡大はほとんど考えていない」という事実を指摘している。

ここ最近のLinux関連の話題と言えば、MicrosoftとNovellの提携、そしてOracleによるRed Hat Linuxのサポートサービスだ。いずれのケースにおいても、我々はMicrosoftとOracleの意図を勘繰り、そしてRed Hatのビジネスが打撃を受けるに違いないと考えてきた。そして、実際にRed Hatの株価は打撃を受けた。しかし、先ほどのオープンソースブログの記事を読むと、これこそ幻想かという思いに捉われる。

Linuxがいよいよメインストリームへ向かうことが明白ならば、Linuxへの足掛かりを作るというのは評価されるべき戦略である。それゆえに、MicrosoftもOracleも正しい方向へ進んでいるに過ぎないという見方が出来る。何ら裏の意図を勘ぐる必要はないのだ。では、Red Hatはどの程度の打撃を受けたかと言えば、実は受けていない。ComputerBusinessReviewによれば、Red Hatの第3四半期売上はアナリスト予想を上回り、前年比45%アップの$105.8mということだ。

まだMicrosoftとOracleのLinuxビジネスが成果を上げるには早すぎるという見方も出来るが、むしろ両社の動きはRedHatのビジネスを奪う以上に、市場全体を広げることへ貢献の方が大きいのではないだろうか。多くの企業がLinuxの採用を検討する中、大手ソフトウェア企業によるLinuxへのコミットメントは、その判断を後押しする効果も絶大だ。この仮説が正しいとすれば、市場はまさにCo-opetition状態であり、MicrosoftもOracleも、そしてRed Hatも当面は潤うことになるだろう。

そして南口に

先ほど、「スパイスマジック カルカッタ本店」と書いたが、本店は西葛西駅の北口にあり、北インド料理を食べさせてくれる。そして、何と「スパイスマジック カルカッタ南口店」なるものが存在し、こちらは南インド料理を食べさせてくれるらしい。我々日本人は、インド料理といえば全て同じだと考え勝ちであるが、インド人に言わせれば、北と南では全然違うそうだ。更に言ってしまえば、ダバワラの話の時に書いたように、究極的にはカレーは全ての家で違うのだ。Linuxにはそんなことになってもらいたくないが、新年会はカルカッタ南口店に決定。

**月間Computerworldの「企業とオープンソース」特集に記事を書きました。

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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