婆さんの右肩にハワイ、Oracleの左肩にHyperion

飯田哲夫(Tetsuo Iida) 2007-03-03 11:03:23

ある土曜日の昼下がり。私は近所のスーパーの駅弁祭りで「かきめし」を仕入れ、家へ向かって歩いていた。環状8号線を渡るため、いつもどおりに歩道橋を登る。そこまでは、極めて普通の土曜日と変わるところがない。しかし、丁度階段を登り終わる頃に妙なものと目が合った。何だか一瞬判らない。脳が混乱して何を見たのか教えてくれない。しかし、よく見れば普通のお婆さんがこちらへ向かって歩いてくるにすぎない。んっ、いやいや、その右肩にオウムが乗っている。そう、目が合ったのはこの緑色のオウムだ。

冬の環八、婆さんの右肩にオウム。私にとってオウムというのは、南国だ。このオウム、かつて訪れたハワイのホテルのロビーで飼われていたものとそっくりだ。そう、婆さんの右肩にハワイが乗っかって環八の歩道橋を渡って来た。この日常に突如出現した異常に、私の脳は解釈に一瞬困ってしまったわけだ。

Oracleの日常と異常

さて、OracleがHyperionを買収することが報じられたが、我々にとってOracleによるソフトウェア企業の買収は既に日常だ。今回は、パフォーマンス・マネージメント・システムの領域を強化するという。ZDNetの記事によれば、今回の買収額は33億ドルで、Siebelの58億5000万ドル、PeopleSoftの103億ドルと比べれば、むしろ小さいということになる。私が駅弁祭りで駅弁を買うよりも、Oracleが企業を買収する頻度の方がむしろ高いかもしれない。

が、今回少し変わったことがある。それは記事の最後の部分にあるOracleのプレジデントCharles Phillips氏によるコメントだ。引用しよう。

SAPの顧客の多くが、財務の統合や分析、レポーティングでHyperion製品を利用している。われわれはHyperionのソフトウェアを通して、SAPの最重要顧客がERPのデータをどう見て分析するかを知ることになる

SAPの裏庭

SiebelとPeopleSoftを買収したOracleにとってSAPは最大のライバルである。Oracleが買収を仕掛けるたびにSAPは、買収される側のソフトを利用する顧客に対して、SAPへのマイグレーションを促すキャンペーンを張ってきた。そして、今回のHyperionの買収には、ソフトウェア・ビジネスの拡大ということ以外に、その宿敵SAPの裏庭に監視カメラでも置くかのような、強い牽制を働かせる意図が見て取れる。

HyperionがSAPのデータ分析でよく活用されていたとすれば、従来SAPとHyperionは補完関係にあったはずである。ビジネスにおいて補完関係にある企業同士は、相手の繁栄が自分のそれに繋がるため、相手の領域を尊重するのが一般的である。そこに手をつけるところがOracle大胆さと言える。SAPのデータ分析のノウハウから、Oralce陣営の強化へ繋げることが出来る可能性がある一方、SAPとの競合関係からHyperionの顧客への不安を与える可能性も高い。賭けになる。

Oracleの奇策

データベースを起点とするOracleは、アプリケーション領域、そしてLinux領域など、垂直方向へぐいぐいと切り込んでいく。その際に、Red Hat Linuxでも見せたように、相手のふところに飛び込んで足元を掬うような意外な手に出ることが多い。今回も、対SAPという意味では同様であり、ソフトウェア・ビジネスの拡大戦略という意味で興味深い。ERPの巨人に対してどう挑むのか、今後も突如目の前に現れるオウムに期待したい。

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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