船に乗るのか乗らないのか - 岐路に立つ3M

飯田哲夫(Tetsuo Iida) 2007-06-10 23:58:58

釣船同好会に入ってしまった。「釣」同好会じゃなくて「船釣」同好会である。船酔いするので原則として船釣りはしないのだが、毎回釣れないと焦燥感に駆られてつい乗ってしまい、こういう結果になるのである。

今回の釣船同好会に勧誘されたときの言葉というのが、「葉山から出る船は本当に揺れないんですよ」とか、「あんなに船酔いしていた僕ですら。。。」といった類いである。今思えば、そんな訳ないだろうという感じだが、まぁ仕方あるまい。しかも「僕たちと一緒にマグロを釣りに行きましょう」などと言う。

そう、マグロと言えば、養殖。まさにイノベーションの最前線である。話はかなり飛んで、先週の海外出張。空港で本屋を覗いてみるとBusinessWeekの表紙に「3M's INNOVATION CRISIS」とある。マグロの話ではなかろうが、3Mと言えば、あのポストイットで有名なイノベーション企業である。一体何が起きたのかと思って買ってみた。

3Mのイノベーション・クライシス

3Mは、Googleより遥か以前より、従業員がその就業時間の15%を業務とは異なるプロジェクトに費やしても良いというルールがあり、それがイノベーションの源泉であると言われていた。そして、それがマスキングテープやポストイットなどの発明に繋がったのだと。

しかしながら、BusinessWeekの記事によると、ここ最近大きな発明もなく、かつてその売上の1/3が過去5年以内に発売された製品によって占められていたのだが、現在ではそれも1/4にまで減ってしまっているのだという。

Six Sigmaが悪いのか

その間に起きた変化とは、2000年の12月にGEからMcNerneyがCEOとしてやってきたことである。McNerneyは、従業員の11%を削減し、Six Sigmaを導入して徹底的に効率性を追及した。結果として3Mの利益は毎年平均22%の上昇を見ることとなる。その間、設備投資は削減され、R&D予算が増額されることはなかった。

4年半に渡ってCEOを勤めた後、McNearneyはBoeingへ行ってしまった。そして、現在のCEOであるBuckleyは、従来の3Mの企業文化を取り戻すべく、設備投資とR&D投資を再度増加させた。また、新規ビジネス領域よりも、むしろコアのビジネス領域へ資本投下を集中させている。就任後一時、業績が低迷したが、今年に入ってからは1月から株価も12%上昇したという。

ビジネスの拠って立つところ

BusinessWeekの記事は、効率性重視のMcNerneyとイノベーション重視のBuckleyを対比させた内容となっているが、別にどちらが正解という訳でもない。McNerney路線を追求して効率性を拠り所とする企業とすることも出来たかもしれない。3Mですら、効率性重視の企業として成り立たせることが出来たという事実には驚きを覚えるのである。

要は、効率性にしろイノベーションにしろ、徹底することによって始めて強みとなすことが出来るということであろう。あとは、どちらを選択するかということだ。船にするのか、陸にするのか、中途半端だから釣れないんじゃないの?

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