日本のIT企業のグローバル化

飯田哲夫(Tetsuo Iida) 2007-08-12 23:19:55

国内のIT需要は上向きになる一方、今後の成長性の低さから大手ITベンダーは海外に活路を見出そうとしている。CNETの記事では富士通とNECが海外IT企業の買収に積極的に取り組んでいることが取り上げられた。

欧米そしてインドのソフトウェア・ベンダーが買収を繰り返しながらスケールメリットを享受する中で、マーケットが日本に限定されることは不利である。しかしながら、単に買収を行って売上規模が拡大するのみでは、企業価値の向上には繋がらない。買収によってこれまでには無かったシナジーが生み出され、追加的なキャッシュフローが生み出される必要がある。

一方で、言葉もマネージメントスタイルも異なる海外のITベンダーをマネージすることは容易ではないだろう。共通したソフトウェアをグローバル展開するようなモデルであれば、効果も出しやすいかもしれないが、日本のソフトウェア産業は輸出産業となるまでには成熟していない。そうした状況下でグローバル化の効果は出せるのだろうか? そもそも、既にグローバルなソフトウェアを持ち、オフショアリングを最大限に活用している欧米のIT企業にスケールメリットで勝つことは難しい。

今日のグローバリゼーションの特質は、フリードマンが言うように、必ずしも企業対企業の戦いではない。ネットワーク化された社会における主役は企業から個人へと移りつつある。そのため、日本のIT企業のグローバル化を考えるとき、それを海外企業の買収やオフショアリングという企業の枠組みだけで考えるのでは面白くない。

それならば、個人の資質がグローバルに発揮される枠組みを用意したり、個人がグローバルにネットワーク化されていく状況を作り出したり、何かこれまでのグローバル化とは異なるアプローチは取れないものだろうか。日本の企業が海外で勝負するとき、何故日本である必要があるのか、そして何故その企業であるのかが必ず問われてきた。しかしながら、競争のレイヤーが国家から企業、そして個人へと移る中、これから問われるのは、なぜその人なのかということなのかもしれない。

特に明快な解があるわけでもないのだが、どうもグローバル化に関する現実の動きと実感に乖離があってすっきりしないのである。暑さのせいかな。

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