インド - ITの次はメディカル・ツーリズム

飯田哲夫(Tetsuo Iida) 2007-10-14 14:21:48

かつてイギリスの片田舎に住んでいた折、腹の辺りに赤い発疹が出来た。それがみるみるうちに全身へ広がり、凄まじい恐怖に襲われた。このまま俺は異国の地で死んでしまうのではないか。。。イギリスは町医者制度をとっているので、翌朝病院が開くと同時に近所の医者へ行って、「全身に発疹が広がって。。。」などと必死に説明するのに対し、「予約がないなら夕方5時に来い。」などと言うではないか。「しかし。。。全身に発疹が。。。」「いいから、5時に来い。」

イギリスは医療福祉が発達しており外国人でも無料で医療サービスを受けることが出来る。しかしながら、サービスそのものは硬直化しており、需要を十分に満たすことが出来ていない。そのため、入院待ちも非常に長く、かといってプライベートの病院に入ろうとするととんでもなく高額なのである。私の受けた対応も、硬直化した医療サービスの一端であると言えるだろう。

メディカル・ツーリズム

インドのIT業界の方に、ITが伸びているのは判るが、他に成長産業はあるのか、と質問してみたところ、メディカル・ツーリズムだと言う。メディカル・ツーリズムとは、先進国からインドはどの発展途上国へ高度な手術を受けに渡航することで、それに観光などもセットになっていたりするらしい。ちょっと検索してみると、結構そういうサービスを提供するサイトが引っ掛かってくる。

特にイギリスなどは先のような事情があるので、その硬直化した医療サービスをインドへアウトソースすることで補っているのだと言える。当然ながら、コストも自国で手術を受けるよりも遥かに安いということとなる。インドでは、政府もメディカル・ツーリズムの拡大へ向けて積極的なのだと言う。

インドの発展モデル

ITやメディカル・ツーリズムを見るにつけ、インドには一定の発展モデルがあるように思う。第一に、先進国で十分に満たされない需要に狙いを定めていること。第二に、製造業よりもサービス業が中心であること。第三に、そのサービス提供には高度な教育が必要とされること。

ソフトウェアの領域であれば、人材の不足をインドのマンパワーと意欲、そして教育によって補ったのだと言える。単に同じものを安く作るのみであれば、ここまで競争力を維持し続けることは困難であっただろう。その拡大の過程においては、欧米の雇用を奪うのではないかという問題も指摘されてきたのも事実だが、それ以上に補完の意味合いが強かった故に今日の発展を見ているのではないだろうか。そして、医療の領域でも同じようなことが起きようとしているわけである。

最近のソフトウェア企業大型買収

さて、最近のソフトウェア業界では、SAPとBO、OracleとBEAなど、相変わらずソフトウェア会社間の大型買収の話題には事欠かない状況が続いている。もはやどれだけ大型の買収があっても驚かなくなりつつあるが、なんとなく、先進国同士が補完関係を築こうとしているみたいで、そろそろ無理が出てくるのではないかなどと、感じたりする今日この頃である。

ちなみに、私の発疹は食中毒。食べたものの何が当たったかは判らないので、原因も不明だと言われました。後から振り返れば大した話ではないですが、あの時の恐怖はたまりませんでしたね。

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