マブナ釣りから紐解くデータベースのサービス化

飯田哲夫(Tetsuo Iida) 2008-04-06 12:07:20

月間「つり人」の5月号の特集は「だから今、マブナ釣り」。その表紙、釣りを前面には押し出さず、観光客の目線の先に仏像のように釣り人を立たせる演出が心憎い。

しかし、なんで今マブナでヘラブナじゃないんだ、と言われてもなかなか苦しい。釣りの対象となる魚なんて限られていて、新製品がどんどん出てくるという世界ではないのだ。せいぜい四季折々の微妙な変化を捉えて釣り人の気持ちを煽るしかない。それでも十分煽られてしまうのは、釣りの悦びが極めて体感的なものだからだろう。食べるのと一緒で、旬の食材には惹かれてしまうのである。

データベースのサービス化

ところで、読んでくれている方は、釣りには興味はないことを思い出した。このブログのテーマは、釣りと違って不可逆的な変化を続けるITの領域である。最近気になるのは、ソフトウェア・サービスの企業がいよいよデータベースをサービス化しつつある流れ。

AmazonのSimpleDBや、噂されるGoogleのBigTableなど、データベースがソフトウェア・サービスとして提供される流れが出来つつある。これは、各企業がデータベースのライセンスを購入して、自ら管理するという負担を取り除くものであり、データベースに関わるコスト負担を変動費化させる。

ソフトウェアのサービス化自体は今に始まった流れではないが、これまでよりアプリケーション層に近いソフトウェア・サービスを提供していた企業が、よりインフラに近いレイヤーへと降りてきた点が注目に値するところだろう。

既存ベンダーとのせめぎ合い

一方で、Oracle、IBM、Microsoftなどの主要データベース企業にとっては、これまでオープンソース・データベースの取扱いが1つの課題であったが、サービス型データベースは新たな課題を投じることとなるだろう。オープンソース・データベースについては、一方では価格面で対抗しつつ、内部へ取り込むことも行われて来た。しかしながら、各社の大きな戦略は、データベース・レイヤーからアプリケーション・レイヤーへのシフトであり、アプリケーション・レイヤーのサービス化であった。

であれば、データベース・レイヤーのサービス化については、参入企業のなすがままに任せておけば良いかと言えばそうではない。アプリケーション・サービス企業がデータベースのサービス化に取り組み始めてしまうと、その上位レイヤーであるアプリケーション領域もこれらの企業によって侵食されてしまう可能性がある。そういう意味においては、単にデータベース・レイヤーの一部を取られるということ以上に戦略的に深刻な意味を持つだろう。

プラットフォームのサービス化

データベース・レイヤーのサービス化は、Salesforce.comの言うところのPaaS(Platform as a Service)に通じるものがある。プラットフォームのサービス化は、その上位レイヤーのサービス化を加速させ、既存のアプリケーション・ベンダーのビジネス領域の革新をよりダイナミックなものとするに違いない。ソフトウェアの悦びはどうにも私には体感できないので、変化し続けてくれた方が面白いのである。

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